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CGに聴く曲5選

(C) カバーナンバーで (G) 原曲がぶっとぶときに聴く曲。あるいは、(C) カバーされた (G) 楽曲でもなかんずく素晴らしもの

Santana の「Black Magic Woman」がカバー曲だと言われても、ほとんどの人はもうオリジナルが誰だったか覚えてはいないでしょう (Fleetwood Macです)。同様に Heart の「Alone」も実はカバー曲。今回は、しかしこれら 2曲とは異なり、原曲のほうもそれなりに広く知られていて、カバー曲とのギャップを比較して楽しめる作品を集めてみました、はい。そのなかでも、カバー曲が秀でて素晴らしい 5曲です。


☆Walk This Way☆

Title              Walk This Way
Artist      Run-D.M.C.
Album       「Raising Hell」1986
Comment 今回の御題で一番手に浮かんだのがこの曲。Steven Tyler と Joe Perry がレコーディング同様MVにも参加、なぜか笑えますね。ただ、このMVの持つ歴史的意義が肝腎です。ラップとロックの壁をぶち破り、世代も文化も超えた、その象徴としてものすごく大きい。

☆Wuthering Heights☆

Title              Wuthering Heights
Artist         Cecile McLorin Salvant
Album       「Ghost Song」2022
Comment 原曲は Kate Bush。スタンダードをカバーするのはジャズの十八番なので、本来はエントリーから除外するのが筋かも。しかし、異次元の素晴らしさなら話は別。↓ の曲ともども、新世代ジャズの/当代最高シンガーのエレガントなぶっとび具合をご堪能ください。

☆Smells Like Teen Spirit☆

Title              Smells Like Teen Spirit
Artist      Robert Glasper Experiment
Album       「Black Radio」2012
Comment 21世紀の新しいジャズ。ジャンルを超えたリフレーミングの中心人物 Robert Glasper。R&B、ヒップホップ、ゴスペル、オルタナ、等々の斬新な融合は、本質的に人力プレイとテクノロジー (サンプリング) との革新的超越です。もしかすると、人類音楽のゲーム・チェンジャー。

☆My Sharona☆

Title              My Sharona
Artist         Leningrad Cowboys
Album       「Zombies Paradise」2006
Comment アキ・カウリスマキ監督の映画 (1989) キャラから現実化したバンド Leningrad Cowboys。昨今のメタル・カバーの、サブジャンル化したエンタメの様相を見ると、反転してL.C.の諧謔的アプローチがまっとうに見えますね。原曲も真っ青の疾走感。アルバムも佳品です。

☆Nothing Compares 2 U☆

Title             Nothing Compares 2 U
Artist     Sinead O'Connor
Album      「I Don't Want What I Haven't Got」1990
Comment 世界でいちばん悲しく美しい歌、と言われた本曲は、Sinead の死によって永遠に……。訃報に接した瞬間、まさか、よりも、やはり、と思われた方のほうが圧倒的に多いのでは……。それだけ、痛ましい生涯だったように思います。精神の安定/安寧とは程遠い。

2023年ラストの記事なので、特別にもうひとつ動画を貼っておきます。そして Sinead O’Connor についてもう少し。「Mandinka」で彼女をはじめて見たとき、その美貌とアンビバレントなバズカットに撃ち抜かれました。以来ずっと彼女を聴いてきました。ほくより5歳年下です。思えば、TVショーに初出演したこの動画の初々しさのなかに、「場違いなところへ来ちゃったかも?」「アタシここに居ていいの?」といった違和感/疎外感が窺えます。おそらく Sinead は、終生その違和感を抱えていたのでしょうね。この世に対して、あるいは、地上のどこにいても

ぼくは「あの世」を信じませんが、あってほしいとは思います。最愛のご子息とともに、Sinead が安らかに眠るために――。

今年一年の皆様のご愛顧に、心より感謝申しあげます。本当にありがとうございました、どうぞよいお年を。




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