「違い」は取扱注意

最近ショッピングモールに行くと、脳トレクイズのようなものが大きなパネルに表示されていて、正解すれば、景品がもらえるという通信会社の販促イベントによく遭遇する。

たくさんのパンダが描かれたイラストの中に混じった犬を探す。
同じ漢字が整列している中に1文字だけ混じった違う字を探す。
といったもの。

子どもでも出来るので、7歳・5歳のわが子も、そのパネルを見つけると張り切って答えを探して楽しんでいる。

子どもは「違い」を見つけるのが好きで得意だなと思う。

「違い」はともかく、「間違い」となるとどうしてもネガティブ要素が強くなる。

ちがい【違い】
①相違。また、その差。「性格の━」「両者にはそれほどの━はない」
②誤り。まちがい。「計算に━がある」
③交差すること。「━沢瀉」

まちがい【間違い】
①まちがうこと。正しくないこと。あやまり。「記録に━がある」「字の━が多い」
②しくじり。失敗。「━をしでかす」「選択の━」
③道徳的によくないおこない。特に、男女間の関係についていう。あやまち。「━を犯す」
④当たり前でないこと。よくないこと。事故。「何か━があったのではないか」

大辞林 第三版

間違い探しも子どもたちに人気だし、本屋に行けば、「間違い探し」の本もたくさんある。

この「違い」はちょっと、取扱注意だと思っている。
違いに着目しすぎたり、その違いをマイナス的にとらえるといじめにつながることがあるからだ。

いじめとは、「相手に自分とのちがいを見つけ、そのちがいにマイナスのラベルを貼り、相手に攻撃・排除・否定・無視などをすること

児童精神科医 門眞一郎先生

引用した記事には、違いを肯定的に受け止める、そのために小さなことから肯定し、ほめるようにすると締めくくられていた。

私自身は、子どもが違いに着目した時点で、それが自分のことであっても、周りの誰かのことであっても、「素敵やね」「お~~~~、いいねぇ」と、「みんな違って、みんな素敵」と、違いを肯定する視点を前面に出している。
ネガティブな感情が芽生えかけていたとしても、私の受け止め方で一蹴することが出来るのではないかと考えているし、これが大人の役割だと思う。

最近、図書館でかりてきた絵本で、珍しく何度も読んでとリクエストされるのが、森絵都さんの「ぼくだけのこと」

「ぼく」のすばらしさやかけがえのなさを教えてくれる素敵な絵本だ。

自分と全く同じ人間はいない。ぼくは世界にたったひとり。
それでいいんだ。それって素晴らしいこと。
等身大のぼくが、自然に描かれているので、「僕は僕でいい」を感じられる。

まずは、「ぼくだけ」をしっかりと認識すること。
この認識がきちんとできたら、周りの一人ひとりにも「ぼくだけ」「私だけ」がある、ということを認められるよね。

この絵本の素晴らしいところは、「ちがい」を探さないこと。
「ぼくだけ」「わたしだけ」をみつける、ということ。

「ちがい」という表現を使った瞬間、どうしても「ちがい探し」を始めてしまう。
「『ちがい』を認めて、肯定的にとらえましょう。」ではなく、
「あなただけの『ONLY ONE』」を見つけましょうと」言えば、
そもそも『ちがい』を意識する必要がない。

冒頭に書いたような街で遭遇する「違い探し」も「ひとつだけ探し」にちょっと違和感があるけれどあえて変換試してみよう。
表現を工夫することでも、思考のクセは変わると思う。
これからは「ちがい・違う」という表現を極力避けてみようと思う。


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