できない理由よりも、着目すること

好きな食べ物がすくない~好きな食べ物がある
半分しか食べない~半分は食べる

同じ現象でも出来るから見るか、出来ない側から見るかで子どもに対する見え方が変わる。

発達段階、離乳食の進め方など、調べればすぐに、年齢・月齢ごとに細かく出てくる。これらを「できる・できない」でチェックすると、「出来ないこと」の方に、視点・意識がいきやすくなり、不安になったり、弱点克服の方法を探そうとする。

こぼしてしまうから、こぼれにくいコップを使う。
噛むのが苦手だから、細かく切る、やわらかくする。

子どもが経験によって、「さぁ。これからいろいろな機能を獲得していこう」ときに、出来ないことに対して、利便性の高い、お役立ちグッズのようなものを用いたり、必要以上に手をかけると、子どもの発達のチャンスを逃してしまうことになる。

このようなアプローチを続けていると、丸のみ、偏食などの原因につながることがあり、「大きくなればだんだん出来るようになるから大丈夫」と楽観視はできない。
待つことは大事だけれど「ほっときゃ育つ」ではなく「育てないと育たない」のだ。

利便性の高い育児グッズや商品が増えたことで、本来、自然に獲得してきていたであろう機能を獲得(=発達)の機会が減っている。利便性というのは、子どもではなく、親のためのもの。
親だって大変な毎日、自分自身の心が乱されないために、利便性の高い商品に頼ることが、必要な時ももちろんある。自分を優先させる時間をしっかりともつことと、子どもの発達にとって必要な環境をつくることは、別の問題として考えて、メリハリをつけながら、両立できる方法を模索するしかないのだと思う。

できている部分に着目して、そこから次のステップに進んでいくこと。離乳食の進め方は、現在地と次のステップの確認に使うのであって、そこに書かれている月齢は、ただの目安にすぎない。
運動が苦手な子、得意な子がいるように、得手不得手は人それぞれ。鉄棒にぶら下がれない子どもに、いきなり逆上がりを教えることはできない。

わかっていても、やはり気になる。
私自身も、専門職としてお母さんたちにアドバイスしながらも、内心は、そもそもこの子の弱点はどこにあるか?それを克服するにはどのようなアプローチが有効か?と真剣に考えていた。そしてそういう思考習慣のときは、なかなか腹落ちする答えに結びつかずいつもモヤモヤしていた。

肩の力をぬいて、「できない」を「できる」にポジティブ変換を続けた。
言葉を変えるだけで、気持ちが変わり、気が付いたら見え方が変わっていた。
言葉のパワーは大きい。
お母さんたちに、自分の成功体験をじっくり話す機会もなかなかとれないし、「それは、先生だから出来たんでしょ」と思われて、情報が素通りしてしまう可能性も高いと感じる。
だから、お母さんには子どもの「できる」「できた」ことを何度だって伝える。こういうコミュニケーションの積み重ねがとっても大事。


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