ビール傘 【毎週ショートショートnote】
都内 某テレビ局
この局内にビール傘と呼ばれる都市伝説があった。
18号室の楽屋に夜中の12時に少し大きめの傘を広げ、そこに冷えた缶ビールを置いておくと神セブンと呼ばれる7人の神様が願い事の内容によってそれぞれ降臨し願い事が叶うという。
あるタレントは札幌で冠番組がやりたいという願いが叶い、ある役者は大河ドラマの明智光秀役に抜擢されたと言われている。
ある日、霜降り何某というギャンブル好きなお笑い芸人が、次の大きなレースで当たるように
ビール傘を仕掛けた。
本当は朝まで覗いてはいけないのだが、我慢出来ずに午前1時頃にそっと楽屋を覗いた。
傘に隠れて、左手にエビスビール、右手に赤鉛筆を持った蛭子何某という漫画家が競馬新聞を眺めていた。
「いや、サッポロ、麒麟がくる、神セブンからの七福神の恵比寿、エビスビール、蛭子さん、ダジャレ渋滞してるっ!」という大きなツッコミの声が響き渡った。
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