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ネコクインテット【毎週ショートショートnote】

日本一の女性バイオリニスト高嶋は悩んでいた。
半年後イタリアで開催される世界クインテット演奏会の楽器編成が未だに決まってないのだ。
第一第二バイオリン、ビオラ、チェロまではいい。

今回の演奏会のために書き下ろした新曲「天使のロマンス」の演奏は、通常の第二ビオラを加えたクインテットでは、何かもの足らない。第二ビオラをコントラバスに変えたり、第二チェロにしてみても何かしっくりこない。

完全に行き詰まった…

高嶋はしばらく練習を中止して姿をくらました。祇園で芸者遊びをしているとか、沖縄で見かけたとか、青森にいたとか色々な噂がたった。

半年後 イタリア

大拍手

スタンディングオベーションが終わらない

「ブラボー!」
「今まで聞いたことのない音色だ!」
「なんてアメージングなんだ!」

着物姿で三味線を持った演奏者を加えたこの五重奏はネコクインテットと呼ばれ、高嶋はクラッシック界の革命児と呼ばれた。 

(だてに芸者遊びしていた訳じゃないから)


410文字


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