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初めての鬼【毎週ショートショートnote】


ボクと親友のヒロは、高校時代同じ野球部で彼はキャプテンだった。正義感が強く、曲がったことが大嫌いだった。負けず嫌いで、自分にも部員にも厳しかった。卒業式の時いつか二人とも高校野球の監督になって甲子園で会おうと約束した。

今年の夏ボクが監督の高校の野球部は甲子園に初出場した。監督になってちょうど10年目だった。2回戦で敗退したが生徒も自分も最高の思い出になった。

ヒロが亡くなったという知らせを受けたのは今から1年半前だった。
横断歩道を渡っていた小学生が居眠り運転のトラックにはねられそうになり、たまたま近くを通りがかった彼は、間一髪小学生の命を救った。それと引き換えに彼は帰らぬ人となった。

甲子園から帰った後ボクはヒロのお墓参りに来た。
墓石の前には彼が監督として3年前甲子園で全国制覇した時の記念のメダルが飾られていた。
真夏よりほんの少し優しくなった陽ざしの中で色鮮やかな鬼灯(ほおずき)が風に揺れていた。

402文字


私の住んでいる地域は初盆は、白い花を飾る風習があり、色鮮やかな花を飾るのは2年目からのようです。初めての鬼(鬼灯)というワードを入れたかったですが、このような形になってしまいました。

たらはかにさんの企画に参加させていただいております。




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