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サラダバス【#毎週ショートショートnote】

 きょうはサラダ王国で年に1回開かれる舞踏会の日だ。
その舞踏会の料理に出される野菜サラダの材料になる野菜たちは、この「サラダバス」と呼ばれるバスに乗ってお城の厨房へ向かう。

どんな野菜でもこのバスに乗れる訳ではなく、お城の料理長から許されたエリート野菜のみがこのバスに乗ることができる。

このバスの左側最後方の窓側の席はキングの席と呼ばれ、人気と実力を兼ね備えた野菜しか座れない。最近は3年前に国民的賞を受賞したパプリカが座っている。

パプリカが座る前はセロリがキングの席に座っていた。
40~50年ほど前はニンジンやトマトが座っていたこともあったが、今やそんな昔のことは誰も知らず、バスの真ん中あたりでおとなしく座っていた。

発車間際になって、体の大きな野菜が料理長に懇願してきた。
「私もバスに乗せてもらえませんか?」

料理長は、首を左右に振りながら答えた。
「お前は黙って、そこのガラスの靴を履いたお嬢さんを城まで届けろ。」

『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

(406文字)


たらはかにさんの企画に参加させていただいております。

今週のお題は「サラダバス」です。






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