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エレクトロニカ

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詩やエッセイのようなものも取り揃えたショートショート集です。
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#小説

エレクトロニカ2024 Oct.3

 理由は一体何だろう。彼女は僕の中に強い印象を残した。あるいはそれは弱い印象。儚さから僕…

内なるカモメ
2週間前
9

エレクトロニカ2024 Sep.21

 一匹のトンボが翅を休める。周囲の葦や水面の上にもトンボは沢山。落ち着いて琵琶湖の水景色…

内なるカモメ
4週間前
7

エレクトロニカ2024 Sep.4

 公園で、僕らはブランコで遊ぼうとしたのだが、上手く乗ることが出来なかった。  順番待ち…

内なるカモメ
1か月前
5

エレクトロニカ2024 Aug.31

前回はこちらです。  スケッチブックの記述に残る夢を見ていた時。私自身の身体はリビングの…

内なるカモメ
1か月前
5

エレクトロニカ2024 Aug.29

 リアリティバイツ。  現実からのひと噛み。  私自身が噛み締めたのは失恋の敗戦。  哀し…

内なるカモメ
1か月前
6

エレクトロニカ2024 Aug.27

 屋根付きの列車駅のホーム。大掛かりな影が仕切りを持たない洞窟を作り上げていた。水色のベ…

内なるカモメ
1か月前
8

エレクトロニカ2024 Aug.24

 夏の峠を越えたはずだが、近頃まだまだとっても暑い。  今日は朝から額の周りに熱を感じた。  茹でたワカメが頭の皮の奥辺りにまとわりついているような。  人知れず重たい疼きに転じ、曲折を経た後で軽い吐き気も育ませた。  ブランチの後で体温計を使ってみたところ、平熱をわずかに上回っているぐらい。  私は着替えや化粧の身支度を済ませ、グラスに注いだ冷たい麦茶を一気に飲み干した。  二杯目の後でもう一度熱を測ってみたところ、さっきの数値よりも0.1℃だけ上昇していた。  そんな私が

エレクトロニカ2024 Aug.20

 思い出の中には、沢山の夢が眠りついている。記憶の水瓶を離れ、私自身に宿り切ることのなか…

内なるカモメ
2か月前
7

エレクトロニカ2024 Aug.11

 オーマイベビーカー。  砂浜の君は空っぽだ。  それでも決して孤独とは言えなくて。  君…

内なるカモメ
2か月前
10

エレクトロニカ2024 Aug.8

 昨日の私には何が生じたか。目を閉じた闇の中の私をどんな出来事が襲った。やがて開けた眩い…

内なるカモメ
2か月前
4

エレクトロニカ2024 Aug.04

 今夜の私は映画を鑑賞していた。  有名な日本国内の小説が原作。  それも一つの長編じゃな…

内なるカモメ
2か月前
5

エレクトロニカ2024 Aug.03

 見つめた闇がなかなか消えない。  瞳に柔かく刻まれる一時の暗黒症状。  僕が夜の時分を迎…

内なるカモメ
2か月前
4

エレクトロニカ2024 Aug.02

 一つ一つの感情が陸地で跳ね回った。  水の檻への回収を免れ、天に召されることもないまま…

内なるカモメ
2か月前
3

エレクトロニカ2024 Aug.01

 詩の相貌を持ち合わせ、エッセイの仮面の薄皮で目元を覆う。  安楽な日記や旅先の宿の落書き。  文芸領域の反復横跳びを繰り返し、生きた小説に至る未来を夢に見つめる。  僕や私のエレクトロニカ。  放蕩的な文字の鍵束。  人工の海を流れる氷、溶け行く氷。  相の転移を行い、誕生と滅亡らしき現象も繰り返す。  言葉と言葉。  絶えざる口付けの揺らぎの踊り。      高校時代。  私はバスケットボール部に所属し、人差し指の上でボールを回した。  暗闇の中で交わすキスを覚え、半年後