【ショートショート】overturning
駅のホームを鳩が歩いていた。
それから先の彼か彼女がどうしたか。
私には何も解らない。
階段先に広がる壁の口。その場に設営された夜空の色こそが青い群れ。透き通る緑色の幻獣の首や背中、あるいはシャボン玉のグラスを満たすホワイトノイズ。
どれも作り事だらけのようで鼻持ちならない。高層ビルの上階のオフィス、硬質なデスクの上で踊り疲れたパラノイアもすっかり消化されていたようだ。
一日の仕事を終えた僕だが、今日は勤め先の保険会社で壊れた時計の針を何度も見つめた。自分自身の