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シルビア日記11 マニラ漫遊

新型コロナウィルスの影響が拡大してから忘れていた感覚。
《海外の空気を吸いたい。》
昨年やっと5類になり世の中が動き始めた。
何年ぶりだろうか国外に出るのは。それまでは1年に一回ほど、どこかの国に行っていた。すべて仕事だが。今回も思わぬ形でマニラで仕事の依頼が来た。迷わず快諾をした。そしてその日が来るのを待った。
成田空港が大好きだ。この場所に立つと世界への入り口、いや狭い空間からの脱出口に来たような気持ちになる。手続きを終えてゲートをくぐる。もうここは日本ではない。解放された気分になる。まだ飛行機にも乗っていないのに。
時間に余裕があったのでコーヒーを飲んで待つ。フィリピン行きの飛行機を待つ人が増えてくる。僕は思い込みが激しいので、少しやんちゃそうな人を見るとおそらく特殊詐欺の関係者だろうと思っていた。
搭乗すると隣の席の人がどういう人が来るかが最大の関心事項になる。席に着くとまだ隣はいない。そこから15分「誰もくるな」祈り続けた。最後と思われるお客さんが乗ってドアが閉まった。
最高のラッキー。3人座席に一人。僕のファーストクラスの完成だ。早速横になった。あっという間の6時間。蒸し暑いマニラ空港に到着した。手厚い歓迎を受けて、打ち合わせ会場に向かった。簡単な挨拶と記念撮影をしてホテルに到着した。立派な大きなホテルだ。それを思わせる大理石の力はすごい。しかしよく見るとところどころに歴史を感じる。それは1980年代のアメリカ映画に出てくるような雑さがあった。一人で大きな部屋、誰もいない海外怖さもある。
夕食をこちらの関係者が案内するというので、車に乗り込んだ。3車線道路で誰も遠慮のしない車線変更、バイクの割り込み、永遠と街に鳴り響くクラクション、道路交通法や車検などはないのだろうと思った。日本にいるとクラクションにイラっとするが、こちらでは挨拶程度の感覚だ。10キロの距離を2時間かけて行った。そこは洋食とフィリピン料理、そしてライブで音楽の聴けるお店でとてもおしゃれだった。しかし2時間も悪路に揺られていたので疲れがピークに来ていた。お客さんと思われる女性がバックバンドの音に合わせて歌って、英語だから上手に聞こえるのか、いやプロ並みの歌唱力だ。ホテルに戻ったのは23時を超えていた、危ない地域もありますので出歩かないほうがいいですよ、との注意を受けた。僕はそれをふりに捉える癖がある。少し出てコンビニに行った。言われた注意に納得できるくらい怖かったが、こんな非日常が楽しくて時間が早く流れた。1日目はあっという間に終わった。つづく。

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