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メジロで頭がいっぱいだ

ワンコの散歩中、一羽の小鳥がピーピー鳴きながら、すぐそばの茂みやフェンスを飛び回っていました。 
緑色の可愛らしい小鳥で、近寄って見ていても全然逃げようとしないので珍しいなぁ…と思っていたら、足元でなにやらフンフンと何か嗅いでいるワンコ。

見下ろすと、ちっちゃな緑色のふわふわ。
あまりに小さくて、最初何なのかわからなかったけど、よ〜く見たら…


なんとヒナちゃん!


どうやら、まだ上手く飛べないのに巣から落ちてしまったようで、母鳥が心配してそばを飛び回っていたのです。
道理で逃げないわけでした。

我が家のインコと比べても、頭のサイズぐらいしかないような、本当に小さなヒナです。
ワンコがいなかったら、気づかずに通り過ぎていたかも。


このままでは車に轢かれてしまいそうなので、そっと手のひらに乗せて、道路より一段高い、母鳥のいるフェンス越しの茂みの方に移動させました。

しかし、ヒナはピーピー鳴くばかり。
母鳥も慌てた様子で、ヒナの回りを飛ぶばかり。じきにまた雨も降ってきそうで、ヒナを保護した方が良いのかどうか、悩みました。


けれど、野鳥であること。
すぐそばに母鳥がいること。
厳しい現実が頭にチラついたものの、ここで人の手が介入するべきではないと思い、心を鬼にして立ち去りました。


実際、もし連れ帰ったとしても、今まで野鳥として虫など食べて育ってきたヒナを育てるのは、容易ではないでしょう。
人の管理下で育ったインコのヒナですら、手がかかり細心の注意が必要だったのですから。


とはいえ、その後の散歩中も気になって仕方なく、帰りがけにもう一度だけ様子を見てみようと角から覗いてみると、小学生の男の子がヒナに気づいて、じっと見ているところでした。
帽子を脱いで、どうやら中に入れて連れて帰ろうかと思案している様子。
そこへ、お姉さんなのか、通りがかっただけなのか分かりませんが、やって来た年上の女の子と話し始めました。

ふたりが最終的にどんな決断をしたのか、見届けていないので分かりません。
でも、ヒナちゃんの運命はこの子ども達に託すことにして、後ろ髪引かれながらも立ち去った私です。



帰宅してから調べてみたら、どうやらメジロのヒナだったよう。
あの子はどうなったんだろう…と、その後も気になって、ついつい何度も考えてしまいます。
なまじ、手のひらに乗せて触れ合ったりしたもので、すっかり愛着が湧いてしまいました。
口を開けてゴハンのおねだりまでされたもので…。


もしも、あの時子ども達がいなかったら。
もしも母鳥があきらめて、いなくなっていたら。
私は、ヒナを連れ帰っていたかもしれません。


もしかしたら、命を繋げられていたかも。
でも、もしかしたら、人間のエゴで逆に命を奪っていたかも。
ぐるぐると頭の中を様々な考えがめぐります。


今でも、どうするのが正解だったのか分からないままです。
どうか生き延びていて欲しい。
そう願うばかりです。


自然とのつきあい方を
考えさせられる出来事でした…





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