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1985年「バタリアン」


公開 1985年
監督 ダン・オバノン
出演 ジェームズ・カレン クルー・ギャラガー トム・マシューズ

映画館に2度見に行き、「金曜ロードショー」などの地上波でも何度も放送されたので、10回は見ていると思います。
公開当時は大変な話題作で、図々しい中年女性を意味する「オバタリアン」がその年の流行語大賞に選ばれるなど社会現象とも言える話題作でした。

原題は「ザ・リターン・オブ・ザ・リビングデッド」で、「バタリアン」という邦題は日本の映画配給会社が独自に付けたものだそうですが、こちらのほうが断然インパクトがありますね。

化学資料庫の地下で発見されたタンクの中には「トライオキシン245」という死体を蘇らせる物質が入っていた。外部に噴出した化学物質は死者を蘇らせ、ゾンビとなった死体は人間を襲い始める…

死体を蘇らせてゾンビ化する謎の物質「トライオキシン245」がフレディらの不注意によって噴出し、死体安置所の死体がゾンビ化しフレディらを襲う序盤から流れるような緊張感あふれる展開です。
ゾンビを焼却した煙が雨で地上に降り注ぎ、墓の下の死体が次々とゾンビ化する場面はあまりに恐ろしく絶望感を感じるほどです。

悪さをしようと墓場を訪れた若者たちの中の一人であるトリッシュが、本作の主題曲「Tonight」をバックにいきなりストリップを始めほぼ全裸で踊るシーンは今でも強烈に記憶に残っています。

フレディとフランクは事態を収拾するためゾンビを捕らえ、インタビューを試みる。

「なぜ人を喰うのかね…?」
フレディの直球質問に対し
「痛いからだよ… 人間の脳みそを喰うと痛みが和らぐのさ… 痛い…痛い…」

当時にしては斬新なVFXが使われており、死体置き場の上でもがき苦しむ上半身のみのゾンビはかなりのインパクトがありました。

このゾンビには「オバンバ」という名が付いており、その他「タールマン」などゾンビをキャラクター化するコメディ要素が感じられます。

本作のラストは映画史に残るオチと言っても過言では無いでしょう。

「トライオキシン245」の容器には緊急の場合の連絡先が記載されていた。
町に大量発生し人を襲うゾンビに追い詰められた登場人物らは、電話で緊急事態を報告する。
緊急事態を受けた軍は町に向けてミサイルを発射、ゾンビもろとも町全体が壊滅する…

国家が軍の機密事項をもみ消そうと証拠隠滅を図るオチは「バタリアン」以降の映画でも度々使われており、このラストがいかに斬新だったかがわかります。

本作の成功を受けこの「バタリアン」シリーズも5作まで制作されています。
「バタリアン」シリーズは回を重ねる毎にコメディ要素が強くなり、本作にも出演しているトム・マシューズは「2」にもゾンビに襲われるキャラクターを演じています。
「なんだかこの感じ、初めてじゃない気がする…」と小ネタ満載でした。

この作品は言わずもがなジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」などゾンビ三部作をオマージュした作品ですが、ホラー映画の中でもゾンビ映画というのはマニアックなジャンルだったのが、本作の大ヒットにより「ゾンビ」はキョンシーのような大衆の人気キャラクターになった感があります。
ジョージ・A・ロメロの発明品「ゾンビ」は次々と関連映画が誕生し大ヒットをとばしましたが、彼がゾンビの商標登録をとっていたら大儲けできたのではないでしょうか。

ホラー、コメディ、エロの3大要素が調度良いバランスで組み込まれ、ジャンルを問わず80年代を代表するエンターテイメント作品と言えますね。

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