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午後のロードショー「エイリアン」


公開 1979年
監督 リドリー・スコット
公開当時 シガニー・ウィーバー(30歳)

SFパニック系映画の中で頂点に君臨する作品ですね。
今改めて見るとVFXはさすがにチープな印象ですが、当時は宇宙船やエイリアンの造形が斬新過ぎて完全に置いていかれた感がありました。

この映画の後に制作された宇宙船や潜水艦が舞台のパニックホラーは、すべてこの映画の後発品のようなものですね。

エイリアンは最終盤まで全体像を映すことは無く、見る者の想像を掻き立て恐怖を倍増させています。
エイリアンのヌメヌメとした湿度を帯びた質感や凶暴さには無力感と絶望感を感じるのです。
VFXの技術がこれほど発達した現在でも、見る者にこれだけの精神的ダメージを与えられるクリーチャーは制作できないのではないでしょうか。

それにしても、エイリアンというのはなんと恐ろしい生物でしょうか。
目につく者を片っ端から捕食しまくり、体液は重金属をもあっという間に溶かす強酸性で、うかつに攻撃しようものなら返り血によって攻撃者側も大変なダメージを受けるのです。
女王蜂のような「クイーン」から卵の状態で産み付けられ、そこから蜘蛛状の「フェイスハガー」として誕生し生物に張り付いて卵を産み産み付け、さらに寄生した生物の腹を食い破って「チェストバスター」として誕生、脱皮を繰り返し数時間で大人の個体となる…
この設定を考えた人はたぶんドSでしょうね。

驚くべき繁殖力と成長の早さで、こんな生物が地球に降り立ったら人類は数週間で滅亡してしまうでしょうね。
とにかく彼らには地球から何万光年も離れた惑星で大人しくしていてほしいものです。

エイリアンの質感や宇宙船の描写のさることながら、この映画の恐怖を一番際立たせているのが乗組員たちの緊迫感に溢れ鬼気迫る表情だと思うのです。
特にリプリーを演じたシガニー・ウィーバーは、化粧っ気のない顔に脂汗を滲ませアドレナリン全開のカッと見開いた眼差しで、迫りくるエイリアンの恐怖をガッツリと共感する事ができます。

最終版のお尻がはみ出すほど小さいパンツ姿でエイリアンと格闘する姿が強烈に印象に残っています。
宇宙船の乗組員になるからには理系才女に違いないと思うのですが、彼女の美人過ぎないルックスが設定に説得力を与えています。

宇宙船の中にも関わらず猫が登場し、ホラー映画の要素に欠かせないイイ仕事をしています。
映画の冒頭、乗組員が冷凍睡眠か目覚めるシーンがありますが、猫も冷凍睡眠していたのでしょうか。

乗組員は最初から地球外生命体を地球に持ち帰るための捨て駒だった…
AIマザーコンピューターの乗組員を見放したような言動は「2001年宇宙の旅」の「ハル」を彷彿とさせます。

1986年に続編「エイリアン2」公開されていますが、本作は舞台が主に宇宙船の中に限定されコンパクトな印象なのに対し、「2」ではアクション要素が多くよりエンターテイメント性が増していると言えます。
ホラーパニックに人間ドラマのが加わり、少女を守るためエイリアンにガチ対決を挑むリプリーの姿がドラマチックに描かれています。
個人的にはジェームズ・キャメロン監督の「エイリアン2」の方が完成度が高い印象です。

エイリアンのしぶとさ、繁殖力の強さ、身の潜め方、これは我々がもっとも忌み嫌うあの生物、数億年前の太古の昔から絶滅することなく生き残り人類にプレッシャーを与え続けるG先輩を彷彿とさせるのです。
狭い宇宙船の中でアドレナリン全開で戦うリプリーが、部屋に出現したGと格闘している時の自分と重なってしまいました。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★★

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