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午後のロードショー「ベスト・キッド」


公開 2010年
監督 ハラルド・ズワルト
公開当時 ジェイデン・スミス12歳 ジャッキー・チェン56歳

1985年「ベスト・キッド」のリメイクであり、いじめられっ子の少年が武術の達人に出会い、武術を会得することによって人生が変わるという基本的なあらすじはほぼ同じです。

ジェイデン・スミスはウィル・スミスの息子で、ウィル・スミスは制作も手掛けています。

幼い頃に父親を亡くし、母の転勤でデトロイトから北京に移り住んだ少年ドレ。
バイオリンを練習する少女メイに声を掛けた事から、リーダー格の少年チェンの反感を買い嫌がらせを受ける。
ある日少年たちから暴行を受けている所をマンションの管理人ハンに助けられたことがきっかけで、ドレはハンからカンフーを教わる事になる…

ドレの住むアパートの管理人をしているハンは自らの過失で家族を交通事故で無くし、傷心の日々を送っている。
ハンはカンフーの達人だった。

ジャッキー・チェンの「使い方」という点では大正解と言えます。

ハン役に彼をキャスティングしたことで多くを語る必要はなく、登場シーンから圧倒的な存在感、彼以外のキャストは背景になってしまうほどです。

旧作「ベスト・キッド」ではミヤギがダニエルに武術の訓練として、延々と洗車をさせ、最終的にこれが空手の防御の型に繋がり、いつのまにか型が出来上がっていたという設定があり、これは素人目にもそこそこ納得する事ができたのですが、本作での「ジャケットを着る、脱ぐ、落とす、掛ける」はいくらなんでも無理がありますね。
これがカンフーの基本に繋がるとはとても思えません。
無理やり旧作を踏襲せずとも、オリジナルの訓練方法を編み出しても良かったのではないでしょうか。

旧作同様、ガールフレンドとの恋愛模様も描かれています。

メイ役の少女はどう見ても「ガンバレルーヤのよしこ」似なのに何故か美少女扱いされていましたね。
私は彼女の不思議なヘアスタイルが始終気になってしまいました。

旧作の「ベスト・キッド」で主人公ダニエルが同級生から理不尽ないじめを受け、藁にもすがる思いで武術の達人ミヤギに助けを求めたのと比して、本作のドレは悲壮感が無く、感情移入できませんでした。

ドレはアメリカから中国に移り住んだことでマイノリティとなり嫌がらせを受けるのですが、彼はラップやダンスを得意とし女子にもそれなりにアプローチできる陽キャであり、旧作のダニエルのような非モテ陰キャとは程遠い印象があります。

武術ド素人のひ弱な少年ダニエルと比べ、ドレはブラジリアン柔術を習っていたなど元からそこそこの身体能力があるのです。
旧作ではダニエルが一から厳しい特訓に耐え身体を作り、最終的に空手でいじめっ子たちを見返す見る者の溜飲を下げる展開でしたが、本作にはそれがありません。

終盤のの試合の場面では、「戦う→相手が汚い手を使う→ドレが負傷する→ハンが東洋医学の奥義で治療する→ハンから教わった秘伝の構えで勝利」まですべて旧作と同じで、オリジナルを何度も見た私としては少々飽きてしまいました。

ジェイデン・スミスは泣きの演技にかけてはピカ一ですね。子役で泣きの演技がウマいというのは最強の武器かもしれません。
「幸せのちから」「アフター・アース」など親子共演の映画が多いですね。
二世俳優にやや否定的な私としては、ウィル・スミスの息子推しは若干冷ややかな眼で見てしまいます。
ともかく、ジャッキー・チェンの存在感の前では、ジェイデン・スミスなど消し飛んでしまいます。
正直、ドレ役は誰が演じても良かったかもしれません。

「人生のすべてにカンフーがある」これはジャッキー・チェンだからこそ言えるセリフですね。

カンフーは空手と違い、決着がつくまで時間がかかるという印象があります。
本気で相手と戦うというより、「型を見せる」という部分に重点を置く武術なのでしょうか。

年齢を重ね、アクションスターの第一線から退いた彼の人生がそのまま役に反映され、ハンと重なっています。
哀愁と人間味に溢れ、どこかとぼけた愛すべきおっさん役がぴったりハマっていますね。

アクションから引退しても尚世界中で愛される彼が、今後俳優としてどんな味を出すのか期待してしまいます。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★★★★
午後ロー親和性★★★★★

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