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クセの強い同居人 作 tukiyo

クセのつよい同居人
作 tukiyo

何故だろう  
ずっとだ
僕が一緒に暮らす生き物は、誰も彼もちょっとクセが強い同居人ばかりだ

いちばん最初に僕のとこに来た子犬、あの子は
ものすごくテンションのあがる子で僕が好きで好きで仕方なかったみたい、、、
僕を見るだけで嬉しくてお漏らししてしまう
そんなあの子はある日、学校にいく僕を追いかけてきて、、、勢いあまって道に飛び出して、、、
事故にあって天国にいってしまった

僕は悲しくて悲しくて
一日中泣いて泣いて
次の日、、、あの子のために大きな穴を掘ってそこに寝かせてあげたんだ 
目をつぶったまんまのあの子は、、、もう僕を追っかけてこない
しっぽをちぎれそうなくらいブンブンふって嬉しそうに何回も飛びかかって来たあの子、、、ちょっとうっとぉしいな、、なんて思ってごめんね
僕のことを全身全霊で好きでいてくれてありがとう君をわすれないよ  
僕は声を殺してひっそりお風呂で泣いた。僕は悲しいときいつもこっそりお風呂で泣くクセがある

次に僕のところに来た子はフワフワのうさぎだった、かわいくてかわいくて仕方なかった。
つがいのウサギはしばらくして子どもを産んだ
子どもはたくさんいたけどなぜか二匹しか育たなくて
子ウサギは小さくて毛玉みたいだったけど
あっという間に大きくなった、、、大人のウサギが僕のまわりに4人になったフワフワのそれを
僕は抱きあげたくて手を伸ばす
ガブリ、、、いったぁ、、、
なぜだか、僕はいつも嫌われていた
エサをあげるときも、手を噛まれないように気をつけながら、、、
そーっと手際よくやる
エサを夢中で食べる後ろ姿、まあるく大きなかわいい背中を撫でようとすると、ガブリ!
、、、あはは、、、やっぱりダメみたい。
ウサギからは始終嫌われたまんま、、、僕と彼らの同居生活は終わっていったのだった、、、僕の中でウサギは今でもなんだか怖い生き物になってしまっていたりする、、まぁ、たぶん、子どもだった僕がなにか失礼をやらかしたにちがいないのだけど、、、あの頃、うさぎからこれ以上嫌われたくないって思うと僕はそのうち、エサやり以外は側にも行かないで、ただ遠目にウサギたちがのんびりする様子を見ては、ふふふって笑ったりして、、、僕はそれが好きになればなるほど離れたくなる、、、それを壊してしまわないように、、、いや、傷つかないように、僕自身が壊れるのが嫌だからこっそり遠くから見ていようとする淋しいクセがある。

それからも、僕はいろんな生き物と一緒にすごした

ハムスターや金魚、、、
どの子もなぜかすっごい人見知りな感じで僕に懐かない、、、
噛まれたり暴れて水をかけてきたり、、、
僕の所にくるのはクセの強い子ばかりだ

それから、、、猫
子どもの頃、側にいてくれたのは女の子の猫だった、彼女は、昼間はずっと寝ていて、邪魔するとやっぱり噛まれたりひっかかれたりした
彼女は夜になるとどこかに出ていく、、、そして
朝まで帰らない

朝、目が覚めると
時々、あたまのない大きなバッタや、、、
息をしていないトカゲが
僕の枕元に置かれていて
僕はいつも悲鳴をあげた

猫の彼女がくれるお土産は、、、僕の好みじゃなかった、、、
情けなく悲鳴をあげる僕をほそーい目をして見る彼女

『 あら?なによ、いらないの?それ、とるの大変だったんだからね、わたしの気持ちがわかんないのかしら、バカな子ねぇ』とでも言ってたかもしれないな、、、なんて
オトナになった今、思ったりする。

そんな猫の彼女は、、、
ある夜にいつものように出ていったっきり帰らなくなった、、、
僕はもしかした今でも彼女は猫又にでもなってどこかでバッタやトカゲを追っかけ出るんじゃないか?って思うことがある、、、
とくに月が綺麗な夜なんか、、、あの子の目を思いだして、、、そんなふうに思うんだ
月だけでなくて山を見ても猫の背中を思い出したり、バナナがゆるいカーブを描く形を見ても猫が同じようなカーブを描く様を想い出してはしばらくジーーっと見ていたりして、僕にはそんな連想や空想の世界に入り浸るクセがある。

そして僕が一緒にいた最後のクセの強い子は
彼もやはり猫だった
元々野良猫で僕が保護した子だった、、、

なんか人に嫌な目にあわされたか?
またまたまったく僕に懐かない、、、

噛む、引っ掻く、威嚇する、、、撫でていいのは首の上を3秒まで、抱っこは無し、しようものならやはり容赦なく噛まれたし手を伸ばすと威嚇された、
スキンシップは彼が気が向いた時だけ、たまーに膝に乗ってきてくれたりして、、、僕はその気まぐれをだまーって気長に待っている

誰も寄るなと言わんばかりに窓べの日向でこちらに背を向けて、ただ、気ままに寝そべる姿を遠巻きに眺めて

それは、、、それでも
やはり、、、僕は
彼が大好きだった

やがて、彼も僕の傍からいなくなった
病気になってなくなっていった彼は、いつも、辛そウニしなかった

ガリガリに痩せた背中をこちらに向けて、やっぱり、迂闊に近寄るんじゃねーよ、、、と、言わんばかりに窓べで眠る、、、

そんな、彼をギュっとできたのは、、、もう息をしなくなった、その日の早朝だった。

あれから、、、もう何年もすぎた、、、

たくさんのあの子やあの子や彼女や彼は、、、
僕には厳しい態度の子、クセのある子、変わった子ばかり、、、

でも、、、僕はおもう
僕は、そんな、、、クセを愛してる


今も時々おもいだす  
あのクセ、
このクセ、、、
たくさんの思い出、未だに記憶に残るかまれたりひっかかれた傷、、、
痛かったな、、、と
なつかしく思い出し笑いをしながら、、、

そんな、僕自身もちょっとクセが強い人間なのかもしれない。逆に相手にクセがないと愛せないクセなのかも、、なんて、、、思ったりしながら、、、今日も夜空からこちらを見下ろす猫の瞳のような満月を見つめた。


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