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初めて母に嘘をついた日 【バレンタインの思い出】

小学生の頃から長い間日記をつけています。
日記のルールはただひとつ。

「本当のことを書くこと」

ウソは書かない。
自分の気持ちに正直に書く。

でも、ただ一度だけ、このルールを破ったことがあります。
それが、小学5年生のバレンタインの日です。

今日はバレンタインデーなので、放課後、Sさんに2/11に作ったチョコを渡しました。
Sさんからも貰いました。

Sさんっていうのは女の子で、当時クラスでいちばん仲の良かったお友達。
このSさんに友チョコをあげたということになっているけれど、これは嘘です。

本当は、当時好きだった男の子にあげました。

いかにもモテるタイプのサッカー部の男の子が好きで、そのことはSさんにも打ち明けていて。

バレンタイン、チョコあげちゃいなよ!!!
なんて言われるも、
キッチン使うとき、お母さんに、誰にあげるの??って聞かれちゃう、、、。
と躊躇っていた私。

あたしに友チョコあげるんだって言えばいいじゃん!!

という彼女の助言どおり母には嘘の説明をして、チョコ作りを手伝ってもらいました。

田舎っ子だったせいか、時代のせいか、私はそれまで一度も友チョコというものをあげたことがなく。
この年、突然友チョコを作るなんて言い始めて、不自然に思われているかな、なんてハラハラしてました。

この頃の母はとても過干渉で、私の学校生活から交友関係まで全て把握しておきたいようでした。
なんでも知りたい母に隠し事をすることすら許されなかったのに、ついに嘘をついてしまった。
どうかバレませんようにと神にすがる思いでした。

日記帳もいつか母に覗かれてしまうんじゃないか。
そんな不安がよぎった私は、人生で初めて、嘘の日記を書きました。
その罪悪感、自責の念は、とても大きいものでした。

将来、大人になったとき、この日の真実を忘れてしまわないように。
自分が書いた嘘日記のせいで、記憶が改ざんされてしまわぬように。

そんなせめてもの償いと願いを込めて、ページの上のほうに、赤でちっちゃくバツ印を書きました。
これは嘘だよ、って、大人の私が読んだ時、すぐに分かるように。

結局この日のことは、その後もあまり触れられることなく時間が過ぎたけれど、もしかしたら、実は母には全てバレていたのかもしれません。
振り返ればそう思う節がいくつもあります。
全て分かった上で、あえて騙されたフリをしてくれたのかも。

彼はホワイトデーに、私の大の苦手なゴーフルをくれたんだけど、いつも食べないと言ってはねのけるゴーフルを平然と頬張る私を見て、母は不思議がっていました、珍しいわねって。
(ゴーフルもSさんにもらったことにしたけど、さすがに無理がある、、、苦笑)

初めて母に嘘をついたバレンタイン。
罪悪感で胸がチクッとなりながら、大人への第一歩、思春期への扉を開いた日。


追記

彼がお返しにくれたゴーフルの可愛いカンカン。
今では大量のプリクラ入れになって活躍しています。

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