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哲学・現代思想

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#人間

人間とは何か①

人間とは何か①

18世紀、近代分類学の祖であるカール・フォン・リンネは現生人類をホモ・サピエンス(賢い人)と名付けた。

興味深いことには、リンネは自著『自然の体系』の人類の項(ホモ・サピエンスという正式な名称は『自然の体系』第一〇版において初めて登場する)において、「汝自身を知れ」という古代ギリシアの格言以外のいかなる説明も記載しなかったというのである。

リンネはキリスト教的な人間観を首肯しながらも、あくまで

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人間とは何か②

人間とは何か②

神学的な視点からルネサンス期の哲学者、ピコ・デラ・ミランドラは『人間の尊厳について』と呼ばれる弁論の中で、「人間とは何か」という問いを神学論的な立場から検討している。

創世記によれば、神は森羅万象を創造した後、最後に自らを象った人間を生み出したとされる。だとすれば、万物が上位、中間位、下位の各位に配分された後、創造された人間はいかなる原型も、一定の場所も、序列も持ちえなかったはずであると、ピコ・

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