社長さん

ちょうど、年末に差し掛かろうかというタイミングで、私はとある病院の前にいた。その病院にはケアマネジャーの事業所が併設されており、ここからのお仕事は身体介護が多いだろうと踏んだからだ。

挨拶をするが、相手の担当者からは「資料だけ置いたら帰ってください」と言われる。これが営業の実態だ。

毎回行っても返される。そんな事の繰り返し。

そんな事が続いた年のお正月
1/2だった。携帯が鳴りとると
ケアマネジャー『緊急ですがお願いできますか?』
と聞いてきた。

そうだ、この声は門前払いを受けていた事務所の人じゃないか。
チャンスだ。もう正月だとか言ってられない。すぐに受けて、指定された家に直行した。

豪邸…大きな家だ。奥様が出迎えてくれた。
2階にある本人の自室へ案内されると、本人はベッドで足を伸ばして寝ていた。
マネージャーさんとも初顔合わせになった。
事情を聞く。
元旦にトイレ前で転倒して右足首をひねったそうだ。赤く腫れている。
こそこそと話していたからか本人が
川田「何話とる!!早く何とかせい!!」
お怒りである。そうこの人が、元社長をしてた川田さんである。
奥様と1時代を築き頑張っていた人だ。だが、糖尿病と下肢筋力の低下により転倒を繰り返し、今回に至るという。

状況としては、右足首が腫れ痛みがあり、ベッドに寝ているが、失禁したという状況。とりあえずオムツを変えてほしいという。

川田「ぼさっとしてないで、はようせんか!!」
怒っている。準備をし、いざ開始となったのだが…
マネージャー「すいませんね」
と通ろうとした時、本人の右足に触れてしまった。
「いてえ!!!殺す気かてめぇ」
川田さん大激怒である。やりにくいったらありゃしない。

まず、下半身のズボン・オムツを足に当たらないよう慎重に交換。陰部を拭き上げると同時に、濡れたシーツをはがす。そこから新しいおむつを履き、ズボンを履いてもらい、最後に新しいシーツを入れました。

そこから、ご本人が満足したようで、その場で契約開始となりました。
そのおじいさんがまた、豪快でパワフルな方でした。

まず、訪問すると
川田「グランス君。野球の結果を全部言ってくれ。」
そこから始まるので、予習が必要になる。また、高校野球については予選からだから膨大の量になる。

時には「わいせつな有線放送契約して」

もちろん介護保険出来ないから。自費で払われる。
そのお金づかいも豪快さもすごかった。
時には
川田「お前のスタッフ何人おる?」
グランス「えーっと…7です。」
川田「じゃあうなぎ屋でうな重10個持ち帰りで。これも自費で」
と百貨店まで行くみたいな事もざらでした。

そんなある日
頼み事を言われたのですが、それが問題を起こしたのです。

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