社長さん2

前回のあらすじ
わがまま放題の元社長さん。その社長さんの要求を受け続け自費サービスをしていたある日の事です。

「すき焼きが食べてぇーなー」
こう言われました。すき焼きである。
こうなるとすき焼きを食べたいので何とかしろという事である。

奥様は病状が思わしくなく、起きておむつを替えるのが関の山である。
ということは…

「おい…グランス君よ。朝9時にすき焼きが食べられるように弁当を手配してくれ」
朝9時にすき焼き弁当売ってる店あるの?
そう思いながら検索していると…
我らがほっともっとである。
なんとすき焼き弁当があるとの事。これでよかった。朝1番で購入し届ける
「おーうめぇじゃねーか。」
良かった…これで…
「あのーグランス君。高級パンが食べてぇな」
え?次高級パン。
ないので、夕方に購入し翌朝届ける
「これぇ…焼きたてかい?」
いえ、夕方に買って届けてますと伝えると
「それでいいわけないやろ」
と怒られてしまった。
なかなかに難しい。

一番の難関だったのは
たこ焼きである。
「たこ焼きが食いてぇな」
え?たこ焼きならどこでもいいと思うでしょ?そうではないんです。
とあるスーパーの総菜たこ焼きじゃないとだめなんですね。

店員さんに頼んで特別に用意してもらう。
アツアツを食べて初めて
「うまい。そうこれ」と。

他にもベトナム旅行に行きたい。
女性をはべらして歩きたい
◎◎という女性に会いたい
焼肉食べに行きたい
ゴルフしたい
体が元気ならしたいことがたくさんあるらしい。
それはとても良い事だと思うのだが…振り回されるのも大変である。

そんなある日…。奥様が救急搬送されたとの連絡を息子さんから聞いた。
自宅内歩行中の転倒。立ち上がれないほどの激痛で、救急搬送され大腿骨頸部骨折で入院。長期の入院だそうだ。

これで介助者がいなくなったので、本人も流石に自宅での生活が厳しくなった。

マネージャー「奥様が入院されましたから…ショートスティ…行きましょ?」
ショートスティとは
短期入所施設で、主に家族のレスパイト(休息)の為に使われる施設。
川田「お、おれはいかんぞ!!行く事になってみろお前なんてクビだぞ」
そんなせめぎあいが続き。
マネージャー「自宅で良いですけど。いう事聞いてくださいよ」
川田「俺を誰だと思っているんだ。なめるなよ」
これだけ威勢のいい事言っているが、だいじょぶなんだろうか?

マネージャーが私の所に来て「大変になりますがどうぞ…よろしくお願いします」と肩を落として帰られてしまった。

奥様のいない一人暮らしが始まる。

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