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白川れなちゃんシリーズ待望の続編ノリユキ先生の願い事

ここは千代田区立ちよちよ小学校の保健室。薬剤師のノリユキ先生は保健室の先生で、ついこの前は、臨時で2年1組の担任をすることとなった。本来の担任のリンカン先生は体調不良から復帰され、いつもどおりの毎日をすごしていた。


「今日の最高気温は35℃まであがります。
みなさん、水分補給をしっかりして、熱中症には気を付けてください」

毎朝同じようなことばっかりテレビで言っている。ホントに暑い。

「せんせぇぇ」
れなちゃんがぐったりして保健室に入ってきた。

ノリユキ先生「どーしたの? れなちゃん、そんなにぐったりして。もしかして熱中症かなー。ベッドに横になって! こおり枕を持ってくるから、ちょっと待っててね」


1時間後、目が覚めたれなちゃんは、ケロッとした表情で、「ノリユキ先生ありがとう」と言って自分の教室に走って行った。

「たまには、ほけんしつに、あいにくるね。といってたことが、ほんとうになっちゃった
なー」るんるん。

今日も無事に1日が終わり、いつものスーパーに夜ゴハンを買いに行く。

自炊が苦手なので、ついつい、お弁当ばっかり買って食べてしまう。
これじゃあ、いかんなー。
もっと野菜を食べて、健康的にならないとなー。

ある日曜日の夕方、いつものようにスーパーに夜ゴハンを買いに来た。

すると……。

「あーー! ノリユキ先生だぁ〜〜!」

この声はもしかして、れなちゃんの声。

「いつも娘がお世話になっております」
れなちゃんのお母様だ。

「ねぇねぇ! ノリユキ先生なにしてるのぉ?」

夜ゴハンを買いにね。
おいしいお弁当があるかなーと思って。

するとそこに、

「あら〜こんなところで、出会うとは思ってなかったわ。ここのスーパーにくるなんて、お目が高いわね〜」

さくらこママの登場だ。

れなママとは犬猿の仲らしい……。

ノリユキ先生「お母様方こんにちは。ちよちよ小学校の保健室のノリユキです」

さくらこママは、ノリユキ先生にこう言った。

「まぁ〜保健室の?女性の先生じゃなくて、男性の先生なのぉ〜なんかいやらしいわねぇ。いろいろ心配だわぁ〜。ねぇーれなちゃんのお母様〜」

ノリユキ先生「すみません。お母様方を不安にさせないよう、気を付けます」

「何をどう気を付けるおつもりかしら〜、保健室の先生は女性にするべきよ〜」


そんな会話の中、ガラの悪い3人組がスーパーに入ってきた。1人は金髪に黒のタンクトップ、2人目はジャラジャラとアクセサリーまみれ、もう1人はかなり太ってる肥満。


ドンッ!!

金髪の男が、さくらこママにぶつかった……。

「ゴォラァ! どこ見て歩いとんじゃ!」


「こっちこそ痛かったわよぉ〜気をつけなさいよ!」

れなママが、「申し訳ございません」と割って入る。

金髪の男が、れなママを突き飛ばした。
れなママはうしろに倒れて頭を打ってうずくまっている。

「キャー!」っと、れなちゃんの叫び声。


金髪の男と他の2人も、れなちゃんの方に向かってきた……。

れなちゃんの前に立ったのは、ノリユキ先生だった。


金髪の男が右手で思いっ切りノリユキ先生の顔面を殴った。1発、また1発。ノリユキ先生は鼻血がボタボタたれている。他の2人も殴る、蹴るの暴行を加えた。

ノリユキ先生は3人組にボコボコにされている。

異変に気付いたスーパーの店員が110番通報をしようとしたが、金髪の男に見つかり、殴り倒された。

れなちゃんは恐怖のあまり、しゃがみ込み下を向いている……。


ノリユキ先生はフラフラで、前歯も折れて血だらけの状態に。それでもれなちゃんの前に立ったまま。

息も荒くなっていた。

他の店員が駆け付けて、あわてて110番を押した。

れなちゃんが「ノリユキせんせぇぇー!」と、泣きながら叫んだ。


左手をポンッポンッと2回。
右手をヒュッと前に1回。


体をユラユラしながら。

「なにやってるの? ノリユキ先生」

その場の空気がガラッと変わり、

ノリユキ先生はタカのようなするどい目付きで、金髪の男をギラリと睨みつけた。

再び、左手をさっきよりも素早くシュッシュッと2回。いや3回。

金髪の男が、「おい! お前まさか……」

他の2人も何かに勘付いたような顔で。

「もしかして千代田区で有名なあのボクサーじゃないのか? さっきあのガキがノリユキって言ってたぞ」

「マジか。それはヤバいんじゃね。オレたち逆にボコボコにされるぞ。逃げるか。いや、あのタカの目に睨まれたらもう逃げれないぞ。」

「ウ〜〜、ウ〜〜」

パトカーの音とともに、男3人はヒザから崩れ落ちた。

さくらこママがれなママのところに駆け寄り、あなた大丈夫なの?救急車も来たから一緒に行きましょう。ほんとにごめんなさいね。怪我させちゃって。

さくらこママが泣いていた……。

れなちゃんが、「ノリユキせんせぇぇー! うわーん!」と、泣きながら抱きついてきた。


「もうほんとにこわくて、しんぱいしたんだからー。てゆーかあれなに? おどり?」

「れなちゃん、学校のみんなにはナイショにしててね。変なおどりって思われたら、恥ずかしいし」


ヨシッ! とりあえずこれで大丈夫かなー。
最近はニュースも変なものばっかりだし、暴力とか誹謗中傷とか、そんなものが世の中からなくなればいいのになぁー。

病院……。
れなママも軽症で問題なく、さくらこママも怪我はなかった。

「いや〜ホントに驚いたわぁ〜いきなり変な3人組くるし、ぶつかるし、運が悪いね」

「あっ! ちょっとナースのお姉さん聞いてくださいよぉ〜さっきスーパーでこんなことがあってねぇ……」

ノリユキ先生がみんなを守ってくれたの。

ナースのお姉さん「れなちゃんはおケガはないの? 大丈夫? あのノリユキ先生って本当にボクサーらしいよ。10年以上の経験があるって、どこかに書いてたわ」

れな「やっぱりノリユキ先生は大物か」


<あとがき>
日頃お世話になっている高清水美音子さんの短編小説「白川れな」の続編を書きました。
僕は毎日文章の書き方を学び、エッセイを書いてみたり、朗読をやってみたり、今では朗読会を主催できるまで成長することができました。感謝の気持ちと恩返しの意味を込めて書きました。

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