鈴木義幸 『エグゼクティブ・コーチング入門』
僕にとってのこの本:
リーダーは、孤独。リーダーは、決断する。リーダーの仕事のほとんどは、部下のアクノレッジメント。変わることは、できる。答えはクライアントの中にある。
シリーズ「コーチになりたい」も15本目の記事になりました。
2009年の出版、とてもわくわくする本です。すべて実話をもとにした話だということで、興味深く読むことができました。
コーチ・エィ アカデミアの参考文献のひとつでした。
著者の鈴木氏が、父親の会社を継ぐことになってしまった「荒巻丈一」のエグゼクティブコーチングをすすめていきます。
コーチはセッションのログ(記録)をとりますが、本書はそのふたりのセッションをできるだけ再現したものだということでした。
以下、印象的な部分です。
・〜しなければならない、というのはヴィクティムの思考。まだ行動は他人事である。
・会社を変えると決めた人間だけが、変えることができる。
・答えがほしいのであれば、コンサルタントを雇うこと。
・鈴木氏は、荒巻氏に「ゴッドファーザー」をすすめた。
・クライアントの中に、答えがある。
・ミッション、すなわち社員に最終的に何を与えたいか。
・リーダーである以上、孤独とは「普通に」向き合うもの。深刻に、ではなく、逃げる、でもなく。孤独を味方に。
・現場をみる、みる、社員とコミュニケーションをとる、とる。
・不安感ではなく、安心感で人を動かす。
・抵抗勢力とたたかう、たとえ相手が父親でも。
僕が読んで、とてもこころに残ったのは、この部分。
荒巻氏のリーダーシップが確立しつつあったころ、社内では緊縮財政に対する不満が爆発し、荒巻氏は社員から問い詰められました。すべてのデータを明らかにし、荒巻氏は、いち社員の質問にこたえ、心からの謝罪をしました。
のちに、リーダーが簡単に頭を下げたことに対して、荒巻氏は考え、コーチに尋ねました。頭を下げたのは、よかったのだろうか、と。
鈴木コーチは、間髪入れずに、その態度を「よかった」のだとアクノレッジしました。
他のリーダーの要件も知りたいですね。
すべてが具体的なケーススタディになっています。まるで物語のように読める本でした。