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こどものための本 感想

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こどものために書かれた本を読んでいきます。
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2024年1月の記事一覧

ローズマリ・サトクリフ 『第九軍団のワシ』

僕にとっての本作: マーカスは大怪我を負う。父の消息。消えた「ワシ」。友との冒険。 才ある軍人だったマーカスは、戦いで負傷し、名誉除隊。みながその自己犠牲的精神をたたえたが、彼には生きがいが必要だった。 軍神となる夢をたたれたのち、彼の心に沈んでいたひとつの望みが、オルタナティブなものとして浮上する。夢を絶たれたからこそ、この望みにこだわる。それは父の「ワシ」の捜索。 心優しき叔父。そして闘技場で出会った奴隷のエスカ。エスカは、マーカスの友となり、ワシをさがす仲間に。他

ローズマリー・サトクリフ 『ケルトの白馬』

僕にとってのこの本: 族長の息子。運命、自己犠牲。ルブリンが描く白馬。 サトクリフの作品が本当にすばらしいなと、いつどの作品を読んでも心に響きます。とても歴史を感じます。 何冊か読んでみるとわかることがあるのですが、彼女の作品にはいつも、「運命」、「歴史」、「使命」、「挑戦」、「生きる」、そんなテーマが根底にあるような気がしています。 ときに「共存」や「共生」のような表現もあったりしますが、この描き方が誠実でよいのですね。他者と生きる様子が、べたべたしない。昨今のSDGs

伝説の校長講和

僕にとってのこの本の大事な部分: 知性ある大人が、こどもに語る。完全無欠の教養人が、理想の学校を作る。 渋幕は誰もが知る名門校ですが、その歴史は意外と長くないですね。この本の主人公である田村哲夫氏が、1983年に創立しました。 田村氏はご自身の母校、麻布高校の教育を参考に、「幕張に麻布をつくる」との意思で学校を設立。数々の困難をのりこえ、有名人気高に育て上げました。 氏は、リベラルアーツにこだわりをお持ちです。 しかし、みんな知っているように、日本の受験システムでは、高

大ピンチずかん

絵本についても大いに書きたいと思っています。 僕にとってのこの本: こどもの1日は、ピンチの連続だ。そなえあれば、憂いなし。さあいくぞ! 妻が子に買い与えた絵本です。最高に面白いです。やっぱりユーモアは必要! こどもの日々は、ピンチの連続。この本は、ピンチの具体的な場面をレベル分けし、対処法を提唱します。もう、4才の息子が楽しんでいきいきと読みます。作者には、こどもの心を読む不思議な力があるのか、もしくは大人になりきれない人なのか。どちらにしても才能なんだろうなと思いま