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こどものための本 感想

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こどものために書かれた本を読んでいきます。
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2022年8月の記事一覧

サン・テグジュペリ 『星の王子さま』

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 僕にとっての作品の要諦: たいせつなことは目には見えない。飛行士の「僕」と、小さな星からきた王子さまが、不時着をきっかけに出会う。王子さまがこれまで出会った人たちは、王子さまには不可解なものばかり。こども時代を忘れなかった大人である「僕」は、王子さまに共感。 作品は1943年にアメリカで初版。 すでに飛行士として、また『夜間飛行』などの代表作によって有名人になっていたサン=テグジュペリ(1900-1944)による、児童文学作品です。

リン・リード・バンクス 『リトルベアー 小さなインディアンの秘密』

僕にとっての作品の要点: 少年オムリは、不思議な戸棚と鍵を手に入れる。この中に入れたプラスチックの人形は、そのサイズ、彼らの時代設定のまま生命が吹き込まれる。こうして19世紀からやってきたインディアンの「リトルベアー」やカウボーイの「ブーン 」と、少年たちの生活が始まる。現代の日常生活は、この「秘密」を抱えた少年たちには究極にスリリングなものになる。 1980年の作品。原題は The Indian in the Cupboard。 作者のバンクスさんは、1929年、ロンドン

ウィリアム・F・バイナム 若い読者のための科学史

僕にとってのお話の要点: 西洋科学者、イスラム科学者の列伝。特に、医学の歴史には重きを置かれている。科学者の功績をあげながら、初学者を想定して書かれている。アリストテレスからアインシュタインまで、幅広い。 著者のバイナム氏は、医学史研究の泰斗。原著の出版は2012年、訳出は2013年で、そのときのタイトルは『歴史でわかる科学入門』だったそう。 イェール大学出版会がシリーズで出しているA Little History of 〜〜の一つです。 以前、哲学史についてこのnote

エンデ『ジム・ボタンの機関車大旅行』

僕にとっての作品の要点: ジム・ボタンとルーカスは大親友。出生に謎のあるジムと、腕利きの機関士ルーカスは、人口増を背景に故郷の島を出て冒険へ。相棒は機関車のエマ(女性)。そして皇女の誘拐に苦しむ皇帝に出会う。皇女リーシーを助けるべく、竜の待つクルシム国へ。大冒険の末、目的は達成されるが、ジムの出生の謎は明かされず、次回に続く。 幼く勇気があり、感性が豊かなジムと、科学的・論理的思考を持ち合わせた腕っぷしの強いルーカスのコンビが大冒険を繰り広げる。 1960年の作品。エンデ