斜め

自分のことと自分以外のことだけについて毎日投稿。

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  • 【限界飯】

最近の記事

【限界飯】新卒2年目の挫折と生姜焼き定食

プロジェクトリーダーと話し、会社を出てからあまり記憶がない。 公園の時計の針は太い針が5と細い針が8を指している。 記憶はないが、いつものようにこの公園にきていたようだ。 東京は自分のふるさとよりも日が暮れるのが早い。 地球が回ってることを実感する。 でも暗くなるのが早いのは、少し物寂しい。 初冬の東京はこの時間ですでに真っ暗になってしまうのだ。 この公園は会社と自分が住んでいるアパートからもちょうど中間に位置している。 会社の最寄りとは逆方向のため、会社の人間と出くわす

    • 【限界飯】寝過ごした終電と牛丼

      電光掲示板の時計は1時13分。私はしばらくそのゴシックの数字を眺めた。 正確には、折り返しの電車がまだ来るのではないかと時刻表を眺めていた。 しかし、時刻表は真っ暗のままだ。 電車のドアが開く音がした。 頭が痛い。眠い。ドアは空いているが、なんとなくまだ降りないでいい気がした。 2週間前、私は地元の愛媛から上京し、三鷹駅から徒歩10分の6万5千円のアパートに引っ越してきた。憧れの一人暮らし。憧れの男子大学生。 1週間前に大学の入学式があった。 隣の席に座ってきたのは自分

      • 【限界飯】逃げ出した花嫁と街中華

        ここまで来ればもう見つからないだろう。 通り過ぎていく人たちには、もれなく見られているが、あの場所にいた人たちに見つからなければどうだっていい。 なんたってウエディングドレス姿の女が休日の神楽坂をぜえぜえと肩で息をしながら歩いているのだ。そりゃあ通りすがりの人達も見るだろう。 神楽坂には道路に面しておしゃれそうな店が多くある。老舗そうな時計屋さんの時計は短い針が6を長い針が7を指していた。 普通に歩いたら15分ほどだろうが、ウエディングドレスにハイヒール。走りずらいったらあり

        • 【描駅停写】JR中央線東小金井駅

          東小金井駅。通称「ひがこ」は新宿駅から電車で25分ほど、乗り換えせずに一本でいくことができる。特急は三鷹の次に国分寺に停車するためマイナーな駅かもしれないが中央線のほとんどは急行である。しかも急行とは名ばかりで申し訳程度に東中野と大久保に停車しないだけのことである。つまり中央線の急行はほぼ各駅である。これは東京の常識であるから上京する方は真っ先に覚えた方が良い。私は、以前2年ほど武蔵小金井に住んでいたのだが、武蔵小金井は日用品や食材がなんでもそろう店が多くあるため東小金井に行

        【限界飯】新卒2年目の挫折と生姜焼き定食

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        • 【限界飯】
          5本

        記事

          【限界飯】期末テストと二郎系ラーメン

          私は時間を疑っている。今この教室にある時計の秒針が刻むスピードと、ポップコーンを食べながら友達とゲームをしている時の時計の秒針が刻むスピードでは明らかに進むスピードが違うと思う。「楽しい時間はすぐに過ぎる」というのは、どこかのおめでたい人間が言い始めた言葉だ。私は今大学の大教室で流体力学の期末テストを受けている。今この教室の時計の時針は5を分針は12を指している。 テストは90分間で大問は全部で8問。私が手を付けられているのは残り60分の時点で2問。大学のテストには、教科書を

          【限界飯】期末テストと二郎系ラーメン

          【描駅停写】

          毎日の通勤、通学で乗る電車。 なんの違和感もなく過ぎていく駅の一つ一つに、生々しい人間の営みがあることを自覚して乗車してみる。 特急で一目散で家に帰りたいが、間違えて各駅電車に乗ってしまうことがある。 どうせなので興味本位で名前しか知らない駅で降りてみる。 その駅の周辺を歩いてみると、そこはその街独自のものや新しい発見であふれてる。それに、新たな自分の一面を見つけたりすることもある。 いつもは電気掲示板でしか過ぎていくのを見るだけの駅にも降りる理由はたくさんある。 知らない駅

          【描駅停写】

          【限界飯】

          限界飯とは、文字のとおり自分の体や精神が限界の時に食事のことである。 突然の質問だが、お店の名前やメニューを聴いて、その味を鮮明に思い出すことはできるだろうか。答えはYESである。ただし、シチュエーションは限られる。1つは、味そのものが衝撃的であり強く記憶に残る場合。もう1つは、その店での食事の前後での自分が置かれている状況や心境と味が相まって前後の記憶とリンクして記憶に強く刻まれるパターンである。限界飯は後者にあてはまる。飯の味は、その時の自分の気持ちに大きく左右されると思

          【限界飯】