古代憧憬と機械信仰 コレクションの宇宙 ホルスト・ブレーデカンプ、加賀の潜戸を添えて
本書は近代的な博物館の前身とされるクンストカマー(驚異の部屋、珍品陳列室などと訳される)の歴史的な変遷を分析している。市民に開かれた今の博物館とは異なり、本書が研究対象にしているクンストカマーは15世紀~17世紀の王侯貴族や高位聖職者などが収集した汎ヨーロッパ的でエンサイクロペディア的なコレクションである。そのコレクションは支配層にとってミクロコスモスであり、雑多な収集物というより宇宙観の表現だった。ゆえに国やヨーロッパにとどまらず世界中の異国的な品も含まれる。ブレーデカンプ