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【映画#98】「ベニスに死す」『作家と一日』より

こんにちは、三太です。

先週、学校で台湾の中学生と交流を行いました。
今回は対面ではなく、zoomを使っての交流でした。
上手くzoomに入らないなどのトラブルもありつつ、なんとか時間内にやり切ることができました。
生徒たちにとっては、正確にというよりもまずはなんとなくでも通じ合うということが大事なようです。
来年はもしかして対面での交流があるかもしれないので、それはそれで楽しみです。

では、今日は『作家と一日』に出てきた「ベニスに死す」を見ていきます。
『作家と一日』に出てくる6作の映画のうちの2作目です。
1作目の「永遠と一日」は既出でしたので、今回は飛ばします。


基本情報

監督:ルキノ・ビスコンティ
出演者:アシェンバッハ(ダーク・ボガード)
    タージオ(ビョルン・アンドレセン)
    タージオの母(シルヴァーナ・マンガーノ)
上映時間:2時間10分
公開:1971年

あらすじ

ベニス(ヴェネチア)のリド島にやってきた音楽家のアシェンバッハ
何らかの理由で妻子を失った様子の彼は一人でこの観光地に訪れました。
そんな彼が泊まっていたホテルで出会った美少年タージオ
タージオは家族とともにベニスに来たようです。
そこからアシェンバッハはベニスでタージオを追いかける日々。
ホテル、ビーチ、街中・・・。
しかし、そんな中、実はある危機がベニスに迫っているのでした。

時に回想をはさみながら、美を求めるアシェンバッハの様子が描かれる映画です。

設定

・少年への愛
・美の追求
・回想で固めていくストーリー

感想

眉毛をハの字に曲げて、思い悩むアシェンバッハの顔が印象的な映画です。
また、悲しげな音楽も相まって心を打ちます。
ベニスあるいはリドという土地の持つ魅力が十分に生かされていました。
教会の荘厳さや、ビーチでの貴婦人たちの過ごし方がまさにヨーロッパといった感じです。

アシェンバッハとタージオの距離の詰め方が独特でした。
アシェンバッハは半ばストーカーのような追いかけ方をしますし、それに対してタージオもアシェンバッハの方を見てほほ笑むなどちょっと気のあるようなそぶりをみせます。

コレラが吹き荒れるというのは現代の新型コロナウイルスの状況と通じるものを感じました。
正直よくわからないところもいくつかありました。
アシェンバッハとアドルフの美に対する論争はちょっと高度で難しかったですし、アシェンバッハの家族はなぜいないのかもしっかりとした説明はなく、推測でしか判断できません。
そういう意味で言うと、もしかして原作を知っているともっと分かる部分もあったのかなと思いました。
小説を借りて読んでみます。

ふり返る微笑む歩く冬の海

その他

・トーマス・マンの同名小説が原作。

・ウィキペディアより
→アシェンバッハはグスタフ・マーラーという音楽家とマン自身がモデル。

→第24回カンヌ国際映画祭で25周年記念賞を受賞。

→ダーク・ボガードは映画「愛の嵐」にも出ているようで、こちらの映画はまだ見ていないが手に入れられたので、早いうちに見たい。

→ビョルンの人生を描いたドキュメンタリー『世界で一番美しい少年』の内容はなかなか衝撃的。

『作家と一日』内の「ベニスに死す」登場シーン

先ほどからしつこいくらいに「高級、高級」と繰り返しているが、実際、白砂のビーチには、映画「ベニスに死す」で貴婦人たちが休憩するようなテントが並び、砂浜に一歩でも足を踏み入れれば、すぐにビーチボーイたちがやってきて、デッキチェアにマットを敷いてくれ、パラソルで日差しの調節をしてくれるのだ。

『作家と一日』(pp.42-43)

これは「ポルトガルのビーチでパトカーに乗る」というエッセイの一節です。
ポルトガルの高級リゾート地のビーチを形容するのに映画「ベニスに死す」のシーンが使われます。
確かに日本の普通の海水浴場とは少し違った光景なので、映画で表すほうがより的を射るのかなと思いました。
ちなみに、このエッセイのタイトルにあるように、吉田さんたち一行はひょんなことからパトカーに乗ることになります。

吉田修一作品とのつながり

同性愛的な要素はつながります。

以上で、「作家と一日」については終わります。
関連作品を読んだり見たりしてさらに掘り下げていきたいです。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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