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最近のハンターハンター

※多少ネタバレあり。

今回は独り言。

最近ハンターハンター(H×H)を読み直している。

H×Hは小学生の頃に児童館的なところに置いてあったのを読み始めたところから現在まで、定期的に読み返している。

自分の好きな漫画は色々あるが、その中でH×Hはいつ読んでも面白い。

あくまでも個人的に、ではあるが、例えばスラムダンクなんかは面白いと感じるときとそうでないときがある。
(自分自身が最近スポーツをやらなくなってしまったので、いまいち没入できなくなったのかもしれない。)

それに対して、H×Hは小学生の頃に読んでも面白かったし、大学生、社会人になって読んでみても面白いままだ。

面白い理由を1つ挙げるなら、万人がワクワクするような要素が詰まっているんだと思う。

世界観、設定、人物、ゲーム、念、能力バトル、死、命、友情。

これら面白いポイントがしっかり押さえられている。

さて、本題に移ると、H×Hを読み返していて、最近のH×Hについて思ったことを書いていきたい。

それにあたって、「最近」の内容に触れる為に、「少し前」のH×Hについても触れてみる。

アリ編についてだ。

自分的にはH×Hで「流れ変わったな」と感じたのが、アリ編。

まず内容として、ここら辺からダークな内容になっている。
増え続けるアリの、災害的な脅威や、本能的などう猛さ。それに伴って、主人公ゴンやその仲間も、過去一の命の危険にさらされる。
残酷な(グロい)描写も増える。読んだ人は見たかと思うが、規制部分に薄い黒塗りが入るくらいだ。

そして、仲間の死。ゴンにとって重要な人物が死ぬ。

その結果、ゴンの精神は不安定になり、それによって漫画全体の雰囲気が重く暗いものになる。もちろん、今までの物語の中でも、殺し合いなど暴力的な展開はあった。
しかし、ここから逆に考えてみると、基本的に、暴力的な内容に反して明るい雰囲気だったのは、ゴンのお陰だったのだ、という気づきが生まれる。

殺し合い、命のやりとり。やってることは重苦しいのに反して、雰囲気が重苦しくならなかったのは、ある意味不自然なまでのゴンの明るさ、ポジティブさである。

後、付け足すなら、レオリオも前向きで安心感を与えるキャラクターだが、富樫氏が狙ったのか否か、アリ編では一度も登場しない。

同時にクラピカもアリ編では登場しない。これは、クラピカは同胞探し、レオリオは医学部受験という大義名分があるから。というだけではないと思う。
これは仲間を出来るだけ排除し、ゴンの精神的な孤立状態を作りたかったのではないだろうか。

もちろん、助けとなるキルアの存在もある。
ただし、キルア1人だからこそ、ゴンの心の傷を癒しきることはできない。結果は、漫画の通り。ゴンが1人で暴走する。

アリ編についてもう一つ言えるのが、作画の崩壊だろう。

リアルタイムのジャンプでは、落書きに近いレベルにまで作画が崩壊してしまった時期もある。もちろん、作者の体調不良、腰の痛みなどは配慮した上で評価すべきだ。
仕方がなかったことではあるのだと思う。

ただやはり、アリ編の作画崩壊がH×Hという作品のクオリティを落としてしまったことは間違いないだろう。

一方で、アリ編のストーリーについての批判があるようだが、自分はこれに関しては同意しない。
物語の流れ的に、アリ編で大きな転換があったことは間違いないが、個人的には、一つのパートとして面白かった。そう自信を持って言える。

アリの凶暴性。作中最強キャラ、シルバ、ゼノ、ネテロの参戦。それを超えるメルエムの強さ、危機感、切迫感、絶望感。ノヴの4次元マンションというチート能力。キルアとゴンの友情の揺らぎ。ゴンさんの誕生。アリと人間の違い、両者の交わり。最後には人間の残虐性の勝利。

書き出してみるだけでも、H×H本来のワクワク要素はちりばめられていることが分かるし、やはり主人公ゴンの最大の見せ場であることは間違いない。しかもそれに負けないくらい、ネテロの見せ場でもある。つまりH×Hの物語として、一つのクライマックスになっているのだ。もちろん、今後それを超えるクライマックスがあるとは思うが。

アリ編についてまとめると、ちゃんとめちゃくちゃ面白いよね、と言う事だ。作画もコミック版だと修正されているし、個人的に、単行本派としては大きな問題ではなかった。

では、ストーリーを先に進めて、選挙編。

ここでまた流れがかわる。というのは、これまで基本バトル漫画だったのが、心理戦、知略戦に変わるということ。

同時に、ここら辺から文字数がとんでもないことになってくる。

「俺は漫画ではなく、小説を読んでいるのはないか?」と錯覚するほどだ。

そしてその文字量はとどまることを知らず、王位継承編ではさらに文字量がインフレする。文字しか見えないページが存在するほどに。

さて、自分はこの「文字数の多さ」に対して、「2つの理由」があると考察する。

1つは、作者の苦肉の策、なのではないかということ。

作者は腰を患っているらしく、長い時間座って絵を描くことが不可能になってきている模様。そんな中で、なんとか座って描く時間を減らし、横になりながらでもストーリーを作れないかと考えた結果が、文字主体の漫画、なのではないだろうか。これは合理的な判断であり、理由の予想としては、良い線行っているのではないか、と思う。

そして2つ目は、やりたかったから。

まず、ベースの考えとして、作者富樫は漫画の中で、次々と新しいことをしたいのではないかと推察する。幽遊白書やレベルEなどの作品も含めて振り返ってみても、彼は基本ワンパターンの展開、設定は作らない。基本的に、技は使い捨てであり、物語も似たような展開はない。(〇ピースとは違って。)同時に、毎回面白い設定を考え出す。読んだ感想は、すげえ凝ってんな、と言う感じ。

H×Hでもそれは変わらない。念も出来るだけ同じ技は使われないようになっているし、使ったとしても、応用的な使い方がなされる。(ヒソカのバンジーガム・ドッキリテクスチャーとか。ゴンのジャジャン拳のフェイント的な使い方とか。)岡田斗司夫も同じこと言ってたっけ。

で、話を戻すと、富樫氏はここに来て、大幅に趣向を変え、身体的なバトル漫画から、複雑な心理戦へと一時転換しようとしているのではないだろうか。(”一時”転換なので、暗黒大陸編でバトル漫画に戻る、またはサバイバル漫画に再転換するのではないか、と思う。)
元々、念そのものが、思考の柔軟性、瞬発性が肝になるという描写はあった。グリードアイランド編のビスケによる修行のシーンだ。そして、それが最大限に発揮されるバトルが、ヒソカ vs クロロ戦だ。あれはめっちゃ複雑だった。

そしてさらに、念を介した心理戦が1つの戦闘の中で行われていた今までの流れを進化させたのが、集団戦、チーム戦としての王位継承編である。

個人戦、またはせいぜい2,3人のチーム戦だったのが、十数人を1チームとしてそれが14チーム(14人の王子)となったのが王位継承編。
さらにここでは、十二支んや旅団、マフィアの思惑も絡んできて、3つ巴どころの騒ぎではない非常に複雑な心理合戦になってきている。

これは作者の苦肉の策であると同時に、”挑戦”なんだと思う。

そう考える根拠となる1つの考察として、「デスノートっぽいことをやりたいのではないか」、と。

実は、自分が確認しているだけでも、作中で2回、デスノートが出てくる。
1つ目は、絵としての描写で、四角いドラえもんっぽいキャラがデスノートを持っているシーン。
そして2つ目は、旅団シズクのセリフで、団長クロロに向けて、盗賊の極意で使う「本」について、「デスノートみたいですよね」と言っているシーン。

ただしH×Hでは他にも様々な芸能人、作品のオマージュが登場してはいるので、特段珍しいというわけでも無い。さらに、富樫氏は数多くの漫画や映画を見て研究しているらしいので、デスノート"だけ"とも考えにくいが、作中で一応2度もデスノートが出てくるという事は、間違いなく意識はしているのだと思う。

何が言いたいのかと言うと、デスノートと似たようなことがしたかったのではないか、という考察。要するに、「複雑な心理戦」だ。

そして複雑な心理戦を表現するには、当然、文字数は多くなる。実際に、デスノートの文字数の多さは、今のH×Hと似ている。

で、ここからは感想だが、今のところ、決して”大成功”はしていないと思う。なぜかと言うと、やはり、分かりにくい。そしてやはり、絵による補足的な説明の描写も欲しい。

自分はデスノートも大好きな作品ではあるが、あちらの方は文字量が多いのにも関わらず、ちゃんと分かりやすかった。

あくまでも、”個人的な考察を前提とした予想”に対する”個人的な感想”ではあるが、デスノートのような複雑な心理戦へのリスペクトだとしたら分かりやすさという点で、質は劣るように思う。

ただ、この個人的な評価が、これからどうなるかは分からない。

この複雑な心理戦を、だれもが納得する形でまとめ上げ、王位継承編がフィナーレを迎えたならば、自分は手のひらを返して称賛することになるだろう。なぜならそれは漫画デスノートでも成しえなかったことだから。(やはりジェバンニが一晩でやってくれました、は言い訳苦しかった。)(ちなみに映画の方の締め方は素晴らしかったと思う。)

まとめ

色々とマイナス意見も書いてしまったが、それでもH×Hが面白いことに異論はない。
現在の王位継承編も読みにくいだけで、ちゃんと読めば面白いし、さらに、暗黒大陸の5台厄災とか、最近の展開、第四王子ツェリードニヒの未来予知を絡めた念能力なんかは、流石富樫!といった感じでワクワクする。面白い展開になりそうだ。

という事で、連載再開を祝し、同時に今後の展開に期待したい。

ではまた。









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