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春のような温かさがいつもある学校に… 仕事をするということ 〜心の宝物81

🌷朝の教室で


コロナ機の学校。
 8月初めのある朝、校内を巡回しつつ、3年生の教室に入りました。ちょうど、「今日のめあて」を確認する場面でした。

 話し合いの末、定まっためあてを、黒板に書いたのが彼女でした。文言は忘れましたが、白のチョークで、一点一画もおろそかにせず、ゆっくりと丁寧に、力強い文字で書く姿と引き締まった表情は今でも脳裏に鮮明です。

 黒板の右の端に書かれた短い文から、全開のエアコンが吹き出す、涼風に負けないほどの爽やかな空気が、教室全体に吹き渡るようでした。

🌷「仕事をする」ということ


 彼女は、穏やかで、いつもどんなときも優しい笑顔を浮かべています。どちらかといえば控えめな印象ですが、心の内には大きな夢と、強靭な意志を秘めている人でした。

 2年後、図書委員として、近接する幼稚園へ、絵本の読み聞かせに行った折には、「せんせいみたい!」と園児を感動させるほどの、熱のこもった読み聞かせを行い、アドリブで、オルガンの弾き歌いまで披露しました。そのときにこっそりと、「先生になりたい」という夢を打ち明けてくれました。

 掲示物や黒板に書かれる文字や言葉は、子供にとって、何気ないけれど、とても重要な学習環境です。それが教室にある限り、文字やデザイン、貼り方を通して、作り手や書き手の思いが、そこから放出され続けるからです。それを踏まえ、決して単なる巧拙のみではなく、どんな姿勢や心持で作成するかを常に子供たちと語り合ってきました。

 それは、私たちが仕事をするうえでも同じことかと思います。効率やスピードを、何より大切にしなければならない局面であっても、誠実とか、丁寧といった心持を失わないことが、働くということの本質だと考えます。

 短い朝の会の終盤、心の内では慌ただしい思いもあっただろうに、それを周りに少しも感じさせず、落ち着いて、丁寧に仕事をやり通しました。あなたが書いた丁寧な文字は、めあてに込められた願いと共に、今日の、クラス全員の笑顔と成長を力強く支える素晴らしい仕事です。あなたのおかげで、働くということの意味を、みんなが学ぶことができました。ありがとう。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

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