見出し画像

春のような温かさがいつもある学校に…小さな子の思いを力に変えて 〜心の宝物84

🌷温かな日常


 山に囲まれた小さな学校
 秋の深まりと共に、子供たちの掃除が一段と熱を帯びてきました。

 委員会活動が自治的になり、「私語なし掃除」というキャッチフレーズで、「後でそこを通ったり、使ったりする人のために、みんなで掃除を頑張ろう」という全校的な機運が醸され、高まりつつありました。

 5年生の彼は、スポーツ万能。市の陸上大会では上位入賞の常連です。同級生より一回り大きな恵まれた体格と、高い身体能力は、休み時間の鬼ごっこで逃げる姿さえ美しく見えるほどです。

 若干気分屋で、授業姿勢をたしなめられてふてくされるようなところもありましたが、本質的には優しく、面倒見のよい人でした。
 下級生もそれはよくわかっており、彼の周りには、小さな子たちが、よく集まっていました。1年生から見れば、きっと山のように大きく見えるに違いない彼が、豪快に遊んでくれるのが、その子たちはうれしくて仕方がないようです。小規模校ならではの、そんな温かな日常も、この学校の宝物でした。

🌷小さな子の思いを力に変えて


 彼は、掃除に熱意をもって取り組んでいました。体格のよさや体幹の強さを生かし、全力で廊下を磨く姿の美しさと力強さは小学生離れしており、下級生は目を奪われています。そんな思いが声なき声として彼に伝わり、また掃除への意欲に火がつく。その姿が、下級生の、全校の目標としてしばしば話題に上る。それが彼の自信となる。

 そんな好循環が起こっていました。

 この経験は、彼の心の糧となったようで、翌年、最上級生として、彼は迷わず美化委員長に立候補します。そうして、掃除のカタチでなく、値打ちを大切にし、下級生にも理解できる独創的なキャッチフレーズにして発信します。その理想を自ら姿で示します。その取り組みを通して、自治的な活動としての掃除の質を一層高めました。彼の内側でも、他者と協調し、折り合う力が高まりました。

 時には揺れながらも、決意し、挑戦する姿は全校にやる気と勇気を届けています。
小さな子たちも、私もあなたを誇りに思っています。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?