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青春18切符って魔法の小切手だな③

出発


一日目対戦ありがとうございました。
ラウンド2,スタート!Fight !

小雨が降る寒さの中、朝6時台後半に勢いよくホテルを飛び出し、
前を真っすぐ見つめてのしのしと歩いておりました。
元気回復、チャージ完了!
よし、寒いし雨だし早朝だし、今から思う存分寝るぞ!!
(最初から寝る気満々)

駅前のセブンイレブンで買った菓子パンとおにぎりを食べながら、スマホで今日の移動行程をしっかり予習。

路線図を見るのも、乗り換え検索アプリをいじるのも、普段は感じないワクワクがありました。知らない駅名ばかり!知らない世界ばかり!

西日本という、自分にとって未知の領域に足を踏み入れようとするドキドキがおさまらない。
(九州と瀬戸内はちょっとばかし馴染みあるものの、
近畿・中国地方はほぼ無知。中学校の修学旅行で京都・奈良に行ったっきり。)

フロンティアを開拓するアメリカ移民の気分じゃないけど、
「自分が最前線だ!」という謎の自負を胸に、
西へ西へと進む電車に身をゆだねました。

どうでもいい想像

朝の車内、母親と娘さんらしき2人組が乗ってくる。
目の前のシート席に腰を下ろす彼女たちのささやき声、仕草を
ぼーっと聞きながら、
「この人たち、どこ行くんだろなあ~」と想像する。
母方の実家に帰るのか、泊まりでディズニーに行くのか。
いやここ関西だし、USJか?

なんて。無意識に電車内の人間観察をしてしまう癖があって。
偶然隣り合わせた赤の他人が、どんな物語世界を持って、
バックグラウンドを抱えて、いま私の前に立ち現れているのか。

例えば、通学中の電車で単語帳を開く男子高校生を前に、
「試合で1点差で負けて県大会出場を逃して引退し、気持ちの整理がつかないままやるせなく英単語に目を落としているのかな。」
とか、
「それとも、悔しさをバネに受験勉強に打ち込もうと気持ちを切り替えた状態なのかな。お世話になった顧問に薦められた大学を目指しているのかな」

(部活やっててやむなく引退したという設定で想像進めてるのが謎すぎる)

なんて、余計なおせっかいでしかない身勝手なイマジネーションを楽しむ。

その人を主人公として走らせたらどんな小説ができるかな、とか、
この人の半生を楽曲に落とし込んだらBメロはどんな歌詞になるかな、
とか考えちゃいます。

小学生時代に編み出した、0円でできる最高の暇つぶし。
(シルバニアファミリーで培った想像力の弊害かもしれない。また改めて書き起こしてみようー)

私は“「公共圏」で生み出される人間同士の社会的な繋がり”
(図書館や公園、空き地、フードコート、待合室、学校などなど)
に興味があるのですが、

「電車」は、そのフィールドの最たるもの。
ついつい観察してしまう。

私が考えた商品名「えんそくセット」。山登りのおひるごはんを連想させる。
旅フードは地元グルメと映えスイーツだけじゃないんです!!

朝5時半起きだったからか、電車に無事乗れてほっと一息ついたとたん、
眠気に襲われました。京都・大阪(降車不要だった)についた時すら、
景色を堪能するチャンスをドブに捨て、

相生(兵庫県)に着いた時は「あれ??もうそこ??」と軽く驚きました。

岡山駅にて

岡山駅で待ち時間が40分ほどできた。
「うわ~微妙すぎる時間だなー何して過ごすんだよ,,,」という思いを脇に追いやり、駅前を軽くぶらついて、駅の中の書店に立ち入り観光雑誌を立ち読みしていた。

当然っちゃ当然だが、るるぶやまっぷるの棚には、
最前列に岡山・兵庫・広島が並んで一軍感を醸し出す。
特に、広島の押し出しが強い。
HIROSHIMAAAAA!という圧力すら感じる。
(裏表紙のキャッチコピーに「2つの世界遺産を持つ県」とある。言われてみれば確かにだしシンプルに凄いな!)
2列目には島根・鳥取。近畿もちらほら。四国もちょこっと。
3列目は九州と沖縄。

「『たまには関東に足を延ばしてみようかな~勢』のための観光雑誌
コーナーを設けてもいいんだよ(^▽^)/」の気持ち(誰目線?)

広告ポスターの表現にも書店にもピクトグラムにも土地の色が出ていて、
「わたしはいま、岡山にいます(だからどうしたんだ)」
「あ~旅の醍醐味はこういう文化の違いを五感で読み解くことだなー」
と感じる。


40分、意外とあっという間だった。
楽しいなー
普段るるぶ読まないのに、旅先だから自然と吸い寄せられちゃった。

こういう「小休止」の時間も、程よく気分をリフレッシュできて気持ちよい。

次に乗り込むときも、「しゃあー!また移動しますか!頑張るぞー!!(何を?)」のお気持ち。

当初は、乗り換え時間1分!休憩ゼロ!一度も改札を出ない! みたいな
キツキツスケジュールをつくろうとしましたが。
移動にも適度な休息が必要なんだと分かりました。たとえ自分が運転しないとしてもね。

お待ちかねハイライト

で、岡山~米子(鳥取県)間が移動旅のハイライトと言うか、私が最も
魅せられた区間でした。

分け入っても分け入っても青い山とはまさにこのこと。
四方八方を山に囲まれ、トンネルを抜けながら谷間を縫うように線路を敷いていくあの地形。

関東平野で生まれ育った私には、山だらけの風景が別世界でしかない!
言いようのない圧迫感と同時に、安心感もおぼえる。なぜだろう。

日本全国では山が圧倒的な面積を占めており、関東平野は特殊な事例なんだと身をもって体感しますね。

長野県出身の友達に、
「関東圏はどこを見渡しても開けていて落ち着かない。スース―して最初はなんだか不気味だった」と言われたことを思い出します。
山がちな場所から来た友達には、「山、ないの?」と驚かれることも。

一方、沖縄出身の友達には、「海がないことがなんとなく違和感」と言われたことも。その子と海に出かけた時、波打ち際が車窓からちらりと見えた瞬間、里帰りしたかのような感嘆の声を上げていた。

※こういう感覚の個人差、
大学入学後の1年でめちゃくちゃ感じました。
自分のホームである「関東」を相対化できて面白い。

※1番驚いた言葉は、「なんでいちいち山に名前つけてんの?」というもの。
景色を見て「あれはね~筑波山かな?」とつぶやいた時、
「山の1つ1つにしっかり名前があることが新鮮。高知出身なんだけど、
山なんて見渡す限り無数にあるからいちいちネーミングしないし
『名もなき山』ばっかり」と言われた。
確かに!!

とりあえず山と海は日本人の心のふるさとだ(まとめ方雑)

山とわずかな集落と無人駅の組み合わせも、
「山しか見えない!」とキョロキョロしていたらふと視界に留まった三本線(セブンイレブン)も、
見ていて飽きない。

何より、渓谷、緑に囲まれた川の上流、小さな橋。
私は、海よりも山よりも都市よりも、川の上流に心の拠り所を感じる人なのかもしれない。

しかも、汚れた濁流ではなく、緊張感のあるエメラルドグリーン!
南国の海のような開放感あるエメグリではなく、
気高く質実剛健なエメラルドグリーンでした。
(うーん言語化が難しい,,,)

ちなみに、理科の教科書で見開き1ページのフルカラーでお目にかかった
熊本の菊池渓谷が忘れられないので
(ページめくってあんな美しいビジュが飛び出したら小学生びっくりしちゃうよ、授業どころじゃない)
一度行ってみたいものです。

ひとやすみ

午後2時ごろ、新見駅(岡山県新見市)に降り立ちました。
ここでも、次の電車まで50分というブランクができました。

でその50分が!まじで楽しかったんです。

まずは駅舎をぶらぶら歩き、駅前の観光案内所に立ち寄り、
駅前の広場のベンチで一休み。

青春18切符の宣伝ポスターが廊下に貼ってありました。
ポスター写真の風景の切り取り方がすんばらしくて、
「やっぱ18切符しか勝たんよな」(絵に描いたようなにわか)
とため息を漏らしました。

街中をふらふら歩き、(キョロキョロしすぎだし慣れなそうな歩き方してるし、はた目から見れば不審者じみてたな。やけに大荷物だし。よく職質かけられなかったな)橋を渡り、コンビニに立ち寄り、また駅に引き返してきました。

しばし河川敷でゆったりしてました。空気がカラッとして気持ちよかった!ここまた来たいな

卒業式の日だったのか、地元の高校生と親御さんとがピンクのお花を
ポケットに付けて車に乗り込んでいました。左手には花束。
卒業おめでとうを心の中で叫ぶにとどめました。
高校卒業も2年前なのか、早いな寂しいな。。

行って帰る一連の動作が、どうしてこんなに楽しかったのでしょうか。
澄み切った空気が心地よかったのか、川の見晴らしが良かったからか、
風景がころころ変わって飽きないためか。

新幹線や飛行機ならこの景色も新見市の名前すらも知らないまま
人生を終えていた恐れがあるのか、危なかったな(?)

思いもよらぬ土地にふわっと立ち寄り、少しだけその文化圏に溶け込む。
これは18切符じゃなきゃできないやつだよな~
車だとしても高速乗っちゃうしな、、
(18切符旅を車に置き換えれば「一般道オンリーの自家用車旅」なのか…
それもちょっと興味ある。が、運転やりきる自信がない。)

私が今後、日本地図を目の前にした時、そして岡山県が目に留まった時、
頭の中で、新見市にくっきりと色がついているんだろうな


岡山を終え、鳥取に突入。

さて、本鉄道旅ではじめて、私はいわゆる「観光」をすることになります。
どこでしょうか!


(つづく)



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