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僕は、だんだん崩れていった気がした

遅くに家に着くと

「どこ行ってたの?」

案の定、母親が聞いてきた。

いつものことだ。


何となく学校に行き、バイトや遊びに没頭していってた。

たまに学校をサボった。


朝、学校に行ったふりをして、みんなが居なくなった時間を見計らって家に帰って弁当を平らげた。


たまに見誤って、何故か玄関のカギが開く音が聞こえきて焦った。


慌てて二階に駆け上がり暗い部屋の中で声を潜める。


良かった。

バレなかった。


味をしめた僕は度々繰り返した。


いつも、変な時間にこっそり帰ってくる僕をタローは不思議そうに眺めていた・・


「お前、チクるなよっ」

そんなタローにとっては意味不明な言葉を投げかけた僕に少し悲しそうな表情に見せた。


チクるわけがないか・・・


だけど、心のどこかでやましいことをタローに見透かされてる気がしていた。

「わかった、後でおやつあげるから」


僕は、いつものようにお弁当を食べ、寝っ転がっていた。


ガチャガチャ

あ・・・ヤバい

「なんで、ここに居るの?」

母親は意外に早かった。

「別に・・」

あっけなく僕の悪事はバレた。


でも・・・

僕は決して反省はしなかった。


次は上手いやろう・・・

そう考えていたんだ。


「タロー、バレたからおやつは無しだ」

クゥン

前足に顔を乗せて拗ねてるように見えた。


僕は、そっとタローにおやつをあげながら次の作戦を練っていた。

つづく

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