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JapaneseTomの逃避行〈豊丘・喬木村編〉【旅行記】

この記事をお読みの方の中には知ってる方や察してる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はあまり家庭事情がよろしくありません。特にこの時期は稼業が忙しく、家に帰れば『嵐の前の静けさ』のようなピリついた空気が出迎えてくれます。
それだけでなく、一昨日大きな家族喧嘩をしてメンタルはボロボロ。こんな状態で家に居たくはありません。(ちなみに喧嘩の原因は「父の前でスタバのケーキを食べた事」です。食べ物の恨みって怖い(´・ω・`))

なので、私は今日も旅に出ます。どうぞお付き合い下さい。

そうして乗り込んだのは松本駅12:56発の飯田行。この列車には313系の1700番台が充当されています。
この1700番台…というかこの普通列車、元は快速みすずとして長野駅まで乗り入れていました。しかし高速バスとの競走に負けてしまい、運転区間が短縮されて松本始発となっています。
こうして松本駅は313系運用エリア最北の駅となり、留置線では2両の3000番台に混じって留置されている様子を見ることが出来ます。

♫〜
JR-SH-1の流れるような旋律が旅の始まりを奏でます。
12:56、定刻通り発車。
PTSDらしき症状を軽く発症している私は、脳裏にこびり付いた父親の影から解放されるために南信州へと向かいます。

岡谷で客が入れ替わり、転換クロスを倒してスイッチバックをすると辰野支線に入ります。もうすっかり車窓の山の木々は色付いていて、秋の深まりを感じます。
実は、私は紅葉で秋の深まりを実感するようになったのはこうして1人で出かけるようになってからだったりします。それまでは、先程も書いた通り家の空気感と父親の顔色・彼の放つ殺気が我が家の秋の象徴でした。
「普通の人はこれで秋を感じるんだもんな…そりゃ『嫌いな季節』で秋が中々挙げられない訳だ」なんて事をつい考えてしまいます。

辰野を出発すると、去年の豪雨で被害を受けた横川橋梁を通過します。
去年の11月に仮復旧を終え運行再開した時は大きな話題となりましたが、今年の6月にひっそりと本復旧を果たし、運行列車の速度制限は撤廃されています。
今回は不幸中の幸いか、橋脚が流されなかった上にJR東海の区間だった為早期の復旧が可能だったと思います。これが財政に余裕の無い鉄道会社だったら地元自治体との協議が始まり、復旧がもっと遅れていたことでしょう。JR東海に感謝です。
災害大国、日本。今年の夏も東北で大きな被害がもたらされましたが、復旧の見通しが立たずに「このまま廃線になるんじゃないか」と言われている路線もあります。
今ある当たり前を噛み締め、当たり前じゃなくなった時に悔いが残らないように生きていたいものです。
余談ですが、ヨーロッパの方では上下分離方式がメインで、高速バスと同じように同じルートでも様々な会社が競合していると聞きます。これこそ今の日本の実情に合っているような気がするのですが、これが実現するのは果たして何百年後になるのでしょうかねw

ローカル線の代名詞的存在である飯田線ですが、伊那〜諏訪地域は普通に通勤通学圏ですし、伊那〜飯田にかけての伊那谷は大きな地域圏を形成している上に割と沿線に人が住んでいるので、飯田以北は入れ替わり立ち替わりで誰かしらは乗っていたりします。
ただこの伊那谷は南アルプスと中央アルプスに挟まれた縦に長い地域で、全長はなんと70km!そして天竜峡→飯田⇄駒ヶ根⇄伊那⇄岡谷(⇄上諏訪・松本)と、小さいながらも相互の需要が全域に渡って連続しているという特性があります。その為朝は4・5時から夜は0時近くまで車両が動いており、朝夕は30分間隔で日中も(基本的には)1時間半に1本が担保されています。飯田線はローカル線の代名詞的存在ではあるものの、地域をしっかりと支えていて伊那谷に欠かせない路線となっている訳です。
尚天竜峡以南はお察しです。特に温田〜飯田間は並行する路線バスがあり、バスの方が安く病院にダイレクトアクセスする為バスに客が流れてる可能性が十二分にあります。いずれ現地調査しようと思ってますが、noteを書くかはその時の自分のみぞ知る…

飯島辺りでようやく1人になったのですが、上片桐からジャージを着た沢山の高校生が乗り込んできました。私含めた沢山の高校生を乗せて、この列車はまだまだ南を目指します。

15:33 市田駅に定着。
『市田柿』にてその名を全国区にしている市田。ここでは私含め20人程が降りました。
私はここに何をしに来たかというと…

お 散 歩 で す 。
まぁ当然2時間半も電車に揺られたからにはもちろん理由がある訳で。(「電車に揺られたかった」という欲望があったのも事実ですがw)

私は高校を卒業したら関西に進学するつもりなのですが、それまでに成し遂げたいことがあります。それは「長野県の77市町村を踏破すること」です。
長野県は北海道に次いで2番目に市町村数が多い県で、面積では大きく負けている岩手県の33にダブルスコアを付けているとんでもない県だったりします。
そして私(わたくし)Tomは昔からスタンプラリーを見つけると巡りたくなっちゃう習性がありまして… そうして市町村を巡っていくうちに、その自治体にしかない魅力や唯一無二の景色を楽しむ事にハマってしまった結果、残り11町村まで巡ることができました。そして今回、天竜川を挟んで対岸にあり高速バスや飯田線に乗ってるだけでは到達できない2村、豊丘村と喬木村を訪問しに来た訳です。
また余談ですが、コンビニでやっていた仮面ライダーやポケモンのスタンプラリーはもうやってくれないのでしょうか。あれは私の幼少期の全てであり、あの時のワクワクは未だに忘れられません。採算がとれないことに気付いてしまったのでしょうが、あれを体験できない今の子供たちが不憫でなりません。

少し歩くと大きめのラウンドアバウトがありました。日本ではまだまだ珍しいこの交差点。見るとなんかテンション上がっちゃいますよねw この交差点を越えると、豊丘村の中心部へと繋がる橋、明神橋です。

天竜川の水はめちゃくちゃ澄んでいて、水量が少ない所は川底が見え、多い所はエメラルドグリーンの輝きを放っていました。めちゃくちゃ綺麗……
この橋を徒歩で渡っていたのは自分だけでなく、ジャージを着た学生さん5人ほどが歩いて村境を越えていました。バスはちゃんとあるのですが、きっと「バス代がもったいない」の精神なのでしょう。こと通学においては、自分はその根性を持ち合わせていないので羨ましい限りです。
まぁ自分は趣味で3.5km歩く訳ですが…w

豊丘村到達!!

豊丘村に入った後も天竜川をみながら歩いていくと柿畑が現れました。先程も言った通り、このエリアはブランド柿である市田柿の産地です。
「流石は名産品だなぁ」なんて思っていると、衝撃的な光景を目にします。

畑中に捨てられているオレンジ色の塊…そう、剥かれた柿の皮とヘタです。最初見た時はめちゃくちゃビックリしましたが、執筆中に「あ〜、干し柿を作る時にゴミになっちゃった部分を肥料にしているのか」と納得しました。
とはいえ、見知らぬ土地でこんな光景に出くわしたらビックリしませんか?私はめちゃくちゃビックリしました。(大事な事なので2回言いました)

そうして歩いていくうちに、今日の第一チェックポイントである『道の駅 南信州とよおかマルシェ』…に併設せれている『とよおか旅時間』(観光案内所)に到着です。ここまで1.5km、まだまだ余裕です。
さてさて、それじゃ道の駅に向かいましょうかね…ってン!?チョウザメ!?

なんとここではキャビアを産むことで有名なチョウザメが飼育されていました!前情報なしだったのでめちゃくちゃビックリでした… 
黒くてシャープなかっこいいフォルムに、とんがった鼻、ギザギザの歯…と、写真や動画でしか見た事がないチョウザメがリアルで見れてめっちゃ興奮しました!そして動画で見たのはまな板に収まらないくらい大きかったので、ちっちゃくて可愛かったです❤

チョウザメとお別れして道の駅の方に来ましたが、建物がめちゃくちゃ綺麗でビックリしました。それもそのはず、調べたところ開駅は2018年と最近でした。
パン屋さんに入ってジェラートとチョコパンを買ったのですが、店内ピカピカ照明オシャレで凄かったです。

ジェラートは展望台でいただいたのですが、村の景色が一望できて奥には南アルプスも拝むことができました。凄い素敵な道の駅だったので、また何かの機会に訪れたいものです。
ジェラートはりんごとレモンを頼んだのですが、りんごはバニラの中に果肉が入ってる感じで、レモンは皮のほろ苦さが強めの味でした。もちろん美味しかったのですが、酸味を期待しただけに肩透かしを食らったのはここだけの秘密です。

さて、甘いものを食べてチャージしたので、あとは喬木村まで2km歩くだけです!時刻はまだ16時半頃でしたが、すっかり夕焼けでオレンジ色に染まっていました。
凄く綺麗な夕陽だったのですが、少しずつ沈んで暗くなっていくにつれてなんだかセンチメンタルな気持ちになってしまいまして… そもそもこの旅行が傷心で飛び出してきたものですから、色々と考えてしまう訳です。
そこからは歌を口ずさみながら歩いて行くことにしました。
時には「命に嫌われている 結局いつかは死んでいく 君だって僕だって いつかは枯葉のように朽ちてく」なんて口ずさんでみたり、

柿の畑の近くで「たまには木陰で休んで 君の悲しかった事も聴かせて 僕にも力になれること あるかもしれないじゃん」なんて口ずさみながら、暗くなっていく空に抗って歩き続けました。


そうして歩いていき、体温も息も上がって来た頃、遂に喬木村の村境までたどり着くことができました!
ここまで来たらあと一歩!飯田市に行くバスが村境の近くまで来てるので、バス停まで頑張って歩きます!
一瞬バス停が見当たらなくて不安になりましたが、無事北消防センターに到着です!

さて、バスが来るまで10分くらいありますし、記念写真でも撮りますかね!…ってアレ!?バスもう来たの!?早くね!?
ん?左回り…ってお前は10分前に発車したはずでは!?この遅延はラッキー!!

なぜラッキーかというと、左回りの方が早く飯田線と合流できる…というのもあるのですが、それ以上に…

ここ『APINA飯田店』に寄ることが出来るからです!
実は市町村埋めの傍ら、長野県の音ゲーがあるゲーセンを踏破するサブ目標がありまして… 
まさに棚から牡丹餅!入店するやいなや音ゲーコーナーへと直行して行きました。

スペースはそこまで広くないもののゲキチュウマイ・グルコス・WACCA・あらかたのBEMANI機種が揃っており、チュウニズムに関しては金筐体2台体制でした。APINA…強いッ!
そして極めつけはこの弐寺筐体!

旧筐体ではあるもののモニターはデカくて勿論FHD対応。皿も鍵盤も重すぎず軽すぎず丁度よく、足元の振動が耳からも聞こえてくるレベルで大きく設定されていました。

そして破格の1クレジット70円!!正直「大丈夫か…?採算合うのか…?」と心配になりましたね…w
本当に旧筐体の中で一番楽しかったです!また飯田に行った時に遊びに行きたいと思いました。
オンゲキも遊びましたが、安心と信頼のAPINAクオリティで特筆すべき事は無い感じでしたね。いやディスってる訳ではなくて、他社だとあまりに固すぎて違和感があったり少し強く押しただけでハマったり等があったりするので、レベルの高い合格点をオールウェイズ出してくれるAPINAはやっぱり流石という話です。凄い!

そこから歩くこと10分、元善光寺駅に到着しました。
色々と達成できて満足感はあるのですが、やっぱりこれで帰るのは嫌だったりします。
でも1度帰らないと次の旅を始められないのです。我が家の布団で眠れるかどうかは置いておいて、風呂に入り、着替えて、明日からの生活にまた備えねばなりません。
「帰ろう。」自販機で缶のミルクティーを買い、片手でお手玉のようにシェイクさせながらホームへ向かうのでした。

18:26 元善光寺駅定着。
近づいてくるライトの形から313系だと察し、行先表示が幕だと気付くとボックスシートだと察しました。
列車が到着すると車掌さんが駅の改札口に立ち、切符の回収を行っていました。これを行うのはJR東海ならでは。鉄道ファンの中ではカタブツのイメージが広がっている東海ですが、どさくさに紛れようとするヤツを許さないこの姿勢は本当に大好きです。

18:27 元善光寺を定発。
車内には30人程学生さんが乗っていましたが、ほとんどが伊那大島までに降りていってしまいました。と思うと小町屋でまた高校生が沢山乗ってきて、そして北殿あたりでまたガラガラとなりました。
そして伊那松島からはワンマンとなり、辰野周辺で10人ほど降りて岡谷まで行ったのは私含め5人でした。

因みに、今回車内で分割乗車券を購入したのですが、車掌さんに「ホントはダメなんだけどね」と注意されました。JR西ほどの嫌悪感は無いとは思いますが、東海もちゃんと注意されるのでできる限り分割乗車券の使用は控えましょう。少なくとも東日本ほど寛容ではないようです。

20:59 岡谷駅に定着。
いつも2番線に到着するので、0番線に到着するのは実は人生で2回目だったりします。

そして21:15発松本行、岡谷駅を定発。
この長くて苦しい人生という旅路はまだまだ終わらないけれど、折角この世に産まれてきてしまったからには、この世の絶景を沢山見て、この世の美味いものを沢山食べ、両腕で抱える程の土産話を手土産に閻魔様と会いたいものだ。
そんなぼんやりとした考えは、塩嶺トンネルの轟音に掻き消されていくのでした。


あとがき
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。やっぱり自分は精神的に追い詰められた時に芸術的な文を書けるような気がします。明治・大正期の文豪は皆メンヘラと言いますし(怒られろ)、名だたる芸術家ほどメンヘラエピソードは付き物ですからそういう物なのかもしれません。
しかしながら精神が正常に戻った時に『目も当てられない黒歴史』(ダークマター)になってしまうのもまた事実。まぁ羞恥心が原因で削除することは無いのでご安心を。

あと、今回の旅行記は動画投稿者の『春海まふゆ』さんをリスペクトしております。彼の動画は旅行記というより逃避行記で、彼の優しさと芸術性と生き方とエロさにあてられてこのnoteを執筆したと言っても過言ではありません。ニコニコ系列の媒体でブログを書いていたら間違いなく彼の動画を親作品にしていたでしょうが、ここはnoteなので彼のチャンネルリンクを貼っておきます。良ければご視聴ください。

それでは。

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