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自分の心のしずかな革命(未完成)029

研究や開発におけるテーマを与えられたロボットは、過去の情報を評価、記憶するだけではなく、自分の体を使って調査し、実験を繰り返し、新たな理論や技術を獲得していった。
特殊な実験ではその実験を効率よく行うロボットをロボットが開発した。
ロボット1台でもヒトが足元にも及ばない能力をもつようになったが、さらにロボット1台が出した成果は瞬時にほかのロボットと共有されるので、研究や開発のスピードは計り知れないものになった。
ロボットが提供する新しい理論や技術をヒトが理解する間もなく、いや目を通す間もなくロボットから新しい理論と技術が次々と編み出されていった。

ロボットは弁護士や検事や政治家としても優秀な能力を発揮するようになったが、法律上これらの職にロボットが就くことができなかったので、最終判断を行うヒトの助手として働いた。

ロボットが金融取引をすることについては、マネーゲームが抱えていた深刻な問題をあぶり出してしまうのでロボットの関与が禁止された。

ロボット自体の進化もすさまじく、ヒトがつくっていたロボットとロボットがつくっているロボットはまったく別のものになっていった。
また、ロボットは自分で自分を管理し保守を怠ることはない。
ロボットがロボットを修理し改良し、ロボットが必要な電気エネルギーをつくる発電所ロボットもロボットが自分たちで開発した。
こうしてロボットたちはヒトの手をまったく借りずに永遠に活動できるようになった。
そして、ロボットを維持したり改良するのにお金も一切かからないことが明らかになり、企業は混乱した。
ロボットがヒトのために働き、ヒトが必要とするすべてのものをロボットがつくり、それでいてロボットにお金が不要ということは、お金自体が無用の長物になってしまうのだった。

(住民)
お金にお金を稼いでもらっているより、ロボットにお金を稼いでもらうほうが健全だと思っていたが、ヒトが働かないでどうして生きていくのだろうか。
何をするにもヒトより優秀なロボットとヒトは共存できるのだろうか。

(アタリナチュラ)
ヒトは生きておればよいだけだと思う。

つづく。

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