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「アジャイルマニフェスト」と「アジャイルサムライ」の読書会を実施しました

こんにちは!株式会社LIFULL senior 技術広報チームです。

「LIFULL 介護」の開発チームは、2024年4月に再編成しており、エンジニア・デザイナー・ディレクターがひとつの組織で協働する体制となっています。

今までエンジニアのチームは、デザイナーやディレクターと「プロジェクト」という単位で短期間のチームを編成し、単一の施策を企画・開発してきました。
この方法だとメンバーを柔軟にアサインできるメリットがある反面、継続的に同じメンバーでプロダクトを作ることによる成長が得られない、というデメリットがありました。
チームとしてのスキルアップや、プロダクト全体への理解を深めることが難しくなります。

デメリットとなる部分を受けて、開発チームの中からも「アジャイル開発をしたい」「スクラムでやってみたい」という声が複数あがっていました。
そこに今回の組織再編成があったため、プロジェクト運営の方法を変える格好の機会が訪れたのです。

組織再編成の理由とチームビルディングについては以下の記事をご覧ください

そこでまずは運営方法を変えるための準備として、アジャイルソフトウェア開発の基本的な知識や考え方を身につけるために、「アジャイルマニフェスト」と「アジャイルサムライ」の読書会を実施しました。


「アジャイルマニフェスト」とは

「アジャイルマニフェスト」としてよく知られる文章は、日本語では「アジャイルソフトウェア開発宣言」と訳されています。
2001年に発表された「Manifesto for Agile Software Development」の日本語訳で、アジャイルソフトウェア開発における考え方やふるまいの礎になっています。

アジャイルソフトウェア開発宣言(日本語訳)

はじめてアジャイルソフトウェア開発に取り組むのであれば、まずは基本にして原典を知るのが第一歩です。
そこで、チーム全員で「アジャイルソフトウェア開発宣言」の読書会を実施しました。


読書会の進めかた

アジャイルマニフェストは「プロセスやツールよりも個人と対話を」で始まる印象的な4行がよく知られていますが、ここだけを読んで曲解してしまう例も少なくありません。
重要なのは「アジャイル宣言の背後にある原則」と一緒に理解することです。
今回は両方を参加者が事前に読んでおき、ディスカッションする方式で行いました。

アジャイル宣言の背後にある原則

またあわせて、IPAが2020年に公開した「アジャイルソフトウェア開発宣言の読みとき方」という資料も読むことにしました。

アジャイルソフトウェア開発宣言の読みとき方

前述の「印象的な4行」に対しての誤解を解き、12の原則それぞれによりわかりやすい注釈をつけることで理解を助けてくれる、大変よい資料です。
「マニフェストや背後にある原則はわかった。でも日々の仕事にどうリンクさせればいいの?」という疑問がある方に、ご一読を強くお勧めします。


得られたもの

ディスカッションは、4つの宣言と12の原則それぞれについて、メンバー各自が「感想」「現在やっていること」「これから挑戦したいこと」を付箋に書き出すことからはじめました。
お互いの付箋を見ながらチームの現状と目指すところについて議論を行い、最後にブレインストーミングで今後の「やること」「やめること」を考えます。

アジャイルマニフェストについての考察を深め、自分たちの手元で行っている仕事と対比させて考えることで、なぜアジャイルソフトウェア開発が広く受け入れられているのか、一端を知るきっかけになりました。

また、チームビルディングとは違う粒度で、普段の業務に対する課題感や改善意欲が言語化されたのも大きな収穫でした。

チームビルディングについては以下の記事をご覧ください


「アジャイルサムライ」とは

アジャイルサムライ」は、アジャイルソフトウェア開発を導入するための「現場のマニュアル」とでも呼ぶべき書籍です。
経験豊富な著者がちょっとおもしろい言い回しやコミカルなイラストで、基本的な考え方から開発現場でのプラクティスまで教えてくれます。
「エレベーターピッチ」や「インセプションデッキ」という言葉が広まるきっかけにもなりました。

アジャイルサムライ――達人開発者への道

発売は2011年。
すでに10年以上前の書籍ですが、内容に古びたところは見当たらず、今でもアジャイルの導入に役立ってくれる良書です。
「アジャイルマニフェスト」の次に読む本として最適なので、今回の題材として選びました。


読書会の進めかた

読書会は週に2回、朝会後の30分を確保して実施しました。事前に3〜4章程度読み込んでおき、それぞれの章を分担してサマリーを説明し、内容についてディスカッションする、という流れです。

計5回、2週間ちょっとで読了までたどりつけました。


得られたもの

アジャイルソフトウェア開発を行う理由を再確認し、プロセス全体を眺め、具体的なプラクティスを知ることができました。
チームが現状でできていること・できていないことを俯瞰することで、今後なにに注力していけばよいかを考えるきっかけにもなりました。

エンジニアチームでのディスカッション内容

また前述したとおり、LIFULL seniorにおけるプロダクト開発には「小さな単位で頻繁にプロジェクトが立ち上がる」という事情があります。
「アジャイルサムライ」を読み進めることで、プロジェクトの立ち上げがふわっとしているとあとで苦労する、というポイントが見えてきました。
「まずみんなをバスにちゃんと乗せないと」「インセプションデッキ作るとよさそう」など、エンジニアだけではなく職能横断組織としてプロジェクトに取り組む道筋が、少し見えてきたように感じました。


そしてこれから

エンジニアチームには「スクラムを導入したい」というモチベーションがあるので、次はスクラムについて学ぶ予定です。
スクラムとはどのようなフレームワークで、今の自分たちにはどこがフィットしていてどこを変える必要があるのか。
読書会や研修を通じてスクラムを学び、徐々にチームに適用していこうとしています。

また、デザイナーやディレクターにも「アジャイルサムライ」を読んでもらってはどうか?というアイデアも出ています。
職能横断組織として「同じバスに乗る」ためには、前提となる認識や知識が揃っているべきなのは間違いありません。
プログラミングには無関係な部分でも、得るものは大きそうです。

このように、「LIFULL 介護」のプロダクト開発ユニットは大きな変化と成長の真っ最中です。
チームとしてできることを増やし、プロダクト開発の品質と速度で事業を支援していく、そのような存在になるために日々奮闘しています。