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台湾の矯正歯科事情と思いがけない出来事②

前回の記事の続きです。
私のような複雑な状況の患者でも請け負ってくれる矯正歯科を台湾で探していたのですが、ある日無料で治療を続けてくれるという医師に出会ってしまったのです。

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無料で治療をしてくださるという思ってもみない答えが返ってきたために、正直私は不信感でいっぱいだった。しかし、放心状態の私をよそにレントゲン室へ連れて行かれ検査が始まった。もし騙されていたとして後から高額な治療費を請求されたとしても、今回のレントゲン代くらいなら払えると思ったので拒否はしなかった。

怪しいと思って私は検査中色々なところに目を凝らしていたのだが、検査は今まで私が台湾で行ってきた他の矯正歯科となんら変わらないし、病院内もとても清潔だった。そして歯科助手が一つ一つ丁寧にレントゲン写真を撮っていった。私は写真を撮り終えて待っている間、医師や他の患者の様子を注意深く観察した。その60代くらいの男性医師はどの患者でも丁寧に診察し、親しそうに話をいていたので、どう見ても悪い人には見えなかった。

私はどんなに腕の良い医師だとしても看護師や助手に対する扱いがぞんざいであるとその病院に行く気を無くしてしまうのだが、彼は歯科助手たちとも対等に話をしていて、とても親しそうに見えた。とにかく、怪しいところは一つも見当たらなかった。

再び医師が私の元へやってきた。レントゲン写真を見て今後の治療予定を説明してくれたのだが、今までも私のような複雑な事情を持つ患者を何人も請け負ってきた経験があるらしく、今までで一番的確な診断をしてくれた気がした。今の私の抱えている歯並びの問題も、元々通っていた杭州の歯科医師と同じ説明だったため、信じられると思った。

私はもう一度、治療中発生する可能性のある全ての金額を教えて欲しいと尋ねた。すると、わかりやすいように全て書き出してくれた。
・検査費用 3000元→無料
・毎月の調整費用 3000元/月→無料
・親知らずの抜歯 3000元
・アンカースクリュー4箇所 無料
・矯正終了後のマウスピース 3000元
つまり、親知らずの抜歯とマウスピース以外のお金は一切取らないという。こんなことが世の中にあっていいのだろうか。彼は学生からお金をぼったくることはできないよと言い笑っていた。

その後医師は私がなぜ台湾に来たのか、学校はどうしているのかなどといった世間話を始め、本当に検査費用も支払わされず、契約書にサインも書かされず、またうちで矯正を始めると決めたら連絡ちょうだいとだけ言い、そのまま返された。

今までどこの矯正歯科へ行っても費用が高いことに悩んでいたのに、今回は逆に安すぎて悩み始めている自分に笑ってしまった。

私は台湾人の友達数人に、こんなことがあったけど信じても良いのだろうかと聞いてみた。すると皆んな怪しむ様子もなく「台湾ならありえると思う」「それはすごくラッキーだよ!」「きっとその医師はもうすぐ退職する年齢だから気前がよくなってきているんじゃない?」そんな反応ばかりだった。

その後も相談の予約していた矯正歯科一軒を訪れたが、同じ矯正器具を使って治療を続けることはできるけれど、費用については院長と相談しながら細かく一つ一つ検討していかないといけないから今の時点でいくらかかるかは分からないと言われてしまった。いや、これが正常なのだ。

悩みに悩んだ末、結局その心優しい歯科医師を信じ、彼の元で矯正の続きを始めることにした。元々1.5年ほどかかるはずの治療を短縮して1年以内に終わらせないといけないので、3週間に一度その病院へ通うことになった。

長かった矯正歯科探しを終えてやっと一安心。何軒もの矯正歯科へ相談に行ったため、受付費や検査費がかさんだか、良い歯科医師に出会うためには仕方のない費用だ。歯は一生ものなので大切にしたい。今後治療が進み、何か進展があればまたnoteで報告します。

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