近未来の話をしよう-27
落ち着いたかのように見えた新型コロナウイルス感染症の再拡大。
ウクライナ情勢の膠着状況が引き起こす欧米各国の民衆の不満。
安定しているように見える日本の円安、インフレ、経済の動向。
いや、これは嵐の前の静けさ。
空恐ろしい変化の前哨戦。
変化が全て恐ろしいわけではないから、状況がいきなり最悪の状態になるわけではないけれど、細部を見極めないと損失はとてつもなく大きくなる。
まずは民衆の不満がどこへゆくのか?
自己解決できるレベルでないとすれば不満の標的な民主国家であろうと社会主義国家であろうと政府に向けられる。
現在のどの国家も窮地に追い込まれると「平静を装う」傾向がある。
「そんなことはない、この国は大丈夫」と言いながら、置かれている状況を安く見積もって、まず反発を押さえ込もうとする。それでも抑えきれない物理的な現象や経済的困窮はいずれは表面化して政府に降りかかる。
政府に降りかかっている状況は実情はとんでもなく困難な状態であることを示している。
これから2~5年の間に何が起こり、どこに影響を与えるか?そしてどの部分が変化し、さらにその後に起こることが何なのかをしっかり見抜く必要がある。
今はどの国も疲弊している。
疲弊は困窮に変化し、困窮は転換を引き起こし、自分たちで解決できない事象は全て政府に責任を押し付ける。世界のあちこちで政府は転覆し、指導者は代わり、それでも民衆を困窮から救い出すことはできない。
西欧諸国ではかつてのようなアジア圏からの資源や労働力の摂取をしようとするだろけれど、実は西欧圏とアジア圏の力関係はもはやかつてのようなものではなくなっており、簡単には摂取出来ない状況になる。
まずは資源を必要としない経済圏として「デジタル」の支配を西欧諸国は試みるだろう。中国やアメリカ、一部の西欧諸国は「デジタル圏」の争奪を始める。
しかしそれだけでは回復できない要因に気づく。
つまりデジタルがいくら発展を遂げようとも「生命を維持するための食糧」という資源には限界があり、この「食糧」を高い効率で生産できる国が次の覇者となる。
まずは自国の食糧を「自給」出来る仕組みを作り上げ、その後、余剰食料の輸出、海外での技術提携を可能にすること。次の最も大きな利権は「食糧生産技術」になるのだろう。
国土の大きな中国やロシアは食糧生産力を一時的に上げることができるだろう。しかし安定して生産する技術は大国が早くに手に入れるとは限らない。
しかも大陸ではこれまでのツケが回って異常気象などコントロールできない災害が多発し、国土が大きければ大きいほどその被害は大きくなり修正するのに時間を要する。
海は生物資源の再生産に適しており、そのことを技術化し、さらに狭小空間での大規模生産や都市型農業の技術を構築できたなら、日本はもう一度技術立国になれるかもしれない。
現在の工業系大企業が早くにそのことに気がついたなら、次世代の覇者となれるだろう。
もちろんアフリカ大陸も今後は生産拠点となるだろうが、地球温暖化の克服という大きな障壁を乗り越えなくてはならない。
さらに言えば今後は南極大陸の争奪戦も起こるかもしれない。
激動ではあるが、これまでの化石資源の争奪よりは建設的な未来が生まれる可能性はある。
ただし、宇宙空間での資源開発との競争になるかもしれない。
宇宙開発を地球上で行うなら、地球上の環境破壊はしばらく止まらなくなる。
未来を見据えて次世代に託す。これからの事業家にはその使命がある。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?