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事業再生のこと−8

「逆転のマーケティング術」とか「絶対成功するマーケティング」とか、某有名コンサルティング企業が本を出したり、動画配信をしていたりする。
でも彼らの言っている「マーケティング」とは何を指しているのだろう?

「マーケティング」とは、かつては「市場調査」という言葉から置き換えられていた。
ある一定の商品やサービスについて、それを購買したり利用するユーザーの規模や指向性を調査して、それに応じた戦略を立てるときに用いられている。

それならば「マーケティング」とはある一定のユーザー層に対して訴求してその中の市場の多くを取るために必要な「基本データ」ということになる。
元々「マーケティング」は調査と数値を表すものであって、戦略を指す言葉ではない。もちろんマーケティングを分析して最良の戦略を作ることは必要だが、マーケティングをしたので事業が勝手に拡大したりはしない。

彼らが呼んでいる「マーケティング」論は「数の原理」の上に成り立っていて、どれだけ大規模に目的とするターゲットユーザー層に訴求するための資本を投下出来るかにかかっている。

企業が潜在的に存在する「ユーザー層」にどれだけ効果的に訴求できるかはその企業が持っている資本力に正比例する。
「数の原理」は一つは潜在するユーザー層の数のことであり、もう一つはそのそうに対して投下出来る資本の量、つまり、潜在するユーザーに対してどれだけ目立つ告知をどれほどの回数訴求して認知させることができるか?ということになる。

ローカルな事業では良く「地域No.1」を目指せというが、それは広域に対して訴求できるだけの資本力を持たないのであれば、地域を絞り込んでその地域に訴求を絞り込めばある程度の効果を上げることができるということだ。

マーケティングを望む企業が地域性の高い事業を行なっているのならば、ユーザー層が存在する地域に対して集中的に訴求をして認知度を上げれば良い。

私たちの事業はローカルであり、しかも販売地域がある一定範囲内で移動する。同じ地域で催事出店を続けることで少しづつ認知度を上げることは出来るが、それだけでは広範囲に告知の出来る資本力のある企業に勝つことはできない。
ユーザー層の存在する場所に対してピンポイントに訴求するか、あるいはその周辺地域のユーザーを囲い込めるコミュニティを作る。
認知度が上がってきたら、商圏内に常設でユーザーが認知を上げることのできる店舗や告知を行う。
そして実は何よりも効果があるのは商圏そのものへのポスティングを欠かさない。

ローカルなマーケティングの利用は地道なものであるが、低資本で継続できることが大切だと思う。

店舗そのものを広告塔のように特徴あるものにすることで地域店同士をつないで相乗効果を上げることができる。

「ネットを使って情報を拡散」という言葉を良く聞くようになり、小規模事業者が盛んにSNSを使うようになった。効果がないとは言わないが、ネット上で効果が出るアクセス数は10万を超えなければならない。そう考えたときに、一つの発信をバズらせることよりも視聴の機会が常に10万を超える状況を作り出す方が投下する資本は少なくて済む。

ただ単にネットでの告知とSNSでの発信を増やせば良いというものではない。
ただしネット配信が増え、ユーザーの目に留まる機会が増えたとしてもそれは諸刃の剣で、アクセス数をこちらでコントロールすることはできない。
自分たちの製造キャパを超えるユーザーからの需要を増やしてしまっても、供給出来なくなってしまう。
ネットでの発信を組織的に計画的に行うのであれば、それに見合った供給体系を作り上げておかなくてはならない。

しかし、それがある一定規模で可能な体制ができたならば、小さな零細事業者が小資本で有名企業と渡り合える力を持つことが出来る。

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