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川っぺりムコリッタ

#川っぺりムコリッタ
孤独を望む前科者と、彼が引っ越したアパート、ハイツムコリッタの住民達との交流。

#かもめ食堂#荻上直子 監督作という事で、ジーンと沁みる映画でした。

物語自体は大きな起伏はなく、間の取り方も独特だなーと。
派手さは無いので人によっては退屈と感じるかもしれません。
でもそこに居心地の良さを感じる人もいるでしょう。

全員主役級の俳優が演じる住民達がとても魅力的で、富山ののんびりした空気感も相まって僕自身とても癒されました。
観た人はホカホカのご飯にイカの塩辛と黒造り、お味噌汁が食べたくなる事間違いなし。
炊き立ての白米のまぁ綺麗なこと…お腹空いてきた

影のある役が達者な #松山ケンイチ 、共演に #吉岡秀隆#ムロツヨシ#満島ひかり と役者陣も超豪華で、脇には #柄本佑#江口のりこ ら盤石の布陣。
皆演技派なので静かな映画なのにずっと退屈しません。

主人公の特技はお米を美味しく炊く事

住民達の事情は断片的にしか描かれないのですが、俳優陣の演技により奥行きが生まれ、それがそのまま登場人物たちの味になってます。

満島ひかりは気丈な大家さん役

個々の物語がもしあるならぜひシリーズ化希望です。
特にムロさん演じる島田というキャラはかなり魅力的でした。
突然お風呂を借りにくるという図々しい登場をかましたと思いきや、その後も勝手に主人公の家に来て冷蔵庫を漁ったり。
でも庭で採れた野菜を分けてくれたりと憎めない人物。
そしてどうも明るくない過去があるようで。

いつの間にかご飯の共

また吉岡秀隆さん演じる奇妙なお墓屋さんも漂うオーラから話し方まで、この人にしか出来ないなぁと思う不思議なキャラ。

「笑顔で過ごしていらっしゃいますか?」

孤独を望んでいたはずの青年が住民との触れ合いの中で少し前を向き始める人間ドラマなのですが、今作は #ゼロ葬#孤独死 という悲しい現実がテーマになってます。

ゼロ葬…遺族が遺骨を引き取らない葬儀のこと。火葬後の遺骨は自治体等で保管される。

遺族の元へも戻れない、先祖が眠るお墓にも戻れない。
行き場を無くした遺骨が、公務員により仕事として処理される。

それは主人公の目的だった「孤独に生きる」ことの成れの果て。
市役所の職員の話はゾッとしました。

マツケン孤独死エンドは回避できたかな

今作はフィクションでも、現実ではこのような道を辿る人がいるというのは紛れもない事実。

孤独=死という単純な式ではないと思いますが、諸々がオンラインやAIに移行し、人との繋がりや従来の営みが減る時代は既に始まっていますよね。

どうあれ誰かと繋がってることは充実した人生を送る為には大切な構成要素だなと改めて感じる作品でした。

ラストのあれはファンタジーなのかなんなのか、そして島田は何を思ったのか。

あえて語られないのがまた良い映画。

#緒方直人
#田中美佐子
#薬師丸ひろ子
#パスカルズ
#野副亮子

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