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「経済資本」の目でキャリアチェンジを切ってみた!(前編)

キャリアコンサルタント&フィナンシャルプランナーのcocorohaさんからバトンを受け取り、今回担当させていただきます、福所しのぶです。

現在は、脳科学xキャリアコンサルタントとして、ライフキャリア全般にわたる自己実現のサポートをさせていただいています。以前は、バイオテクノロジー分野で博士号を取得後、特許分野の士業(弁理士)として経営層まで登り詰めたバリキャリ、だったこともあります。

私のキャリア遍歴については、以前にwomanプロティアンのインタビュー企画で記事にしていただいたので、併せてこちらもぜひ♪

さて、本題に入る前にひとつ。

プロティアン・キャリア論において、「ビジネス資本」「社会関係資本」「経済資本」の3つで構成されるキャリア資本。「ビジネス資本」や「社会関係資本」については、体験が語られることも多いですよね。

一方、「経済資本」となると…話題にしづらい、かも?

というわけで、今回は思い切って「経済資本」という観点で、私のキャリアチェンジ(の話で恐縮ですが^^;)の裏側に切り込んでみようと思い立ちました。

思いあふれて、前編・後編の2週連続でお送りいたします。お付き合いいただけますと幸いです。
では、どうぞ!

キャリアチェンジの裏に「経済資本」に対する見通しあり!

私は、職業選択という意味では2回の大きな転機を経験しています。

一度目は、大学院卒業後の進路選択。当時、博士号をとった人は大学や公的機関の研究者となるのが王道でしたが、私は特許分野の士業を選びました。

二度目は、難病発症という転機。特許分野からキャリア支援という異色のキャリアチェンジです。

以前のキャリアインタビューでは、自分の能力を活かしながらチャレンジできる方向を選んできた、という視点をお話させていただきました。でも、それだけでは大胆な一歩を踏み出したように見えるようで、「勇気がありますねー」などと言われたりもします。

ですが、清水の舞台から飛び降りるように、ただ飛び出したわけではないのです。それぞれの転機の裏には「経済資本」に対する見通しがありました。

「王道」がゆらいでいる?!

まずは1度目の転機。王道の研究職を選ばなかったことについて。

大学院に在籍していた2000年前後は、ちょうど「ポスドク1万人計画」という政策があり、博士課程の学生が多い時代でした。(ちなみにポスドクというのは博士研究員のことです)

その頃はまだ、博士号をとった人は大学や公的機関の研究職に就くというのが王道でした。でも、少子化の波もあり大学などの正規職員の枠は少なく、増えていたのは任期つきのポスト。1年や2年、長くても5年といった短期のポストです。

では、企業はどうだったかというと就職氷河期まっただなか。博士課程の新卒を歓迎する企業は今ほどは多くなかったので、研究分野的に即戦力!といったご縁がないと門前払いの感もありました。

「経済資本」に目を向けてリスクをコントロール

そんな中、目の前に彗星のごとく(?!)登場したのが、特許業界に飛び込んで弁理士試験にチャレンジする、という選択。

(ちなみに、特許をとるには、研究から上がってくる発明を説明した文書を作成し、特許庁に申請するのですが、弁理士はこの文書作成や手続きを代理します。研究職ではないものの、研究の理解力は不可欠なのです。)

特許業界に飛び込めば研究には戻れませんし、弁理士試験に合格できるかどうかもわからない背水の陣。でも、仮に合格まで何度かチャレンジすることになっても特許技術者(弁理士の補佐)としての定職はそのままです。

一方、あくまで研究職にこだわるなら、短期のポストを転々とする可能性も受け入れる必要もありました。

「経済資本の形成」という観点で見たときに、どちらのリスクが私にとって大きいか…。

定職に就きながら資格試験にチャレンジするほうがコントロールしやすい、と考えたのです。王道ではない分野に飛び出してはいるけれど、私自身の中では新しい旅先にワクワクしながら出かけていくような感覚がありました。

キャリア選択の型?!

さて、一度目のキャリア選択は、いわば「経済資本の最大化」を重視した選択でした。
一方、二度目の、キャリア支援への転向は「ライフワーク重視」といってもいいかもしれません。

私は、自分のやりたいことやライフワークの要素を棚卸しするサポートもしています。私自身が大きなキャリアチェンジを選んできたからか、たまに「好きなことをしていると成功するんですよね?」と言われることがあります。

個人的には、好きなことに取り組むのは楽しくモチベーションを維持しやすいという大前提はありつつも、半分あたりで、半分はずれ、だと思っています。

「あたり」というのは、情熱が宿るような好きなことには、理念や思いに共感する人が集まりやすいし、仮に困難に遭遇したときも初心に返って乗り越える力になる。だから自分を成長させてくれるんだ、と考えている場合。

「はずれ」というのは、好きなことをしていれば困難に遭遇しないか、それを感じずにいられる、と考えている場合。

ところで、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン博士は、年収7万5000ドル(当時約800万円)までは収入が増えるほど幸福度は高くなることを研究から明らかにしました。

好きなことをしていればうまくいくんだ!と飛び出したとして、もし、一時的にでも収入が不安定になったらいかがでしょう?「好きなことをしていれば困難に遭遇せず楽しいはず」と考えていた人は、もしかしたら収入との関係で幸福度が下がってしまうということにもなりかねません。

やりたいことを見つけることは大切なのですが、「好きなことをしていれば困難に遭遇せず楽しいはず」という考えだけで独立しようと思っている節があるようでしたら、ほかのリソースにも目を向けていただくよう促したりと…とりあえず、全力で止めます(笑)。

「ライフワーク重視」の度合いが強いキャリア選択では、実は「経済資本の最大化」のとき以上に「経済資本」に対するリテラシーも必要だろうと思うのです。そのあたりのことを、後編で書いてみたいと思います。

後編もお楽しみに!

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