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黙々と働く人の美しさ。

こんにちは。物語のアトリエの安藤です。
ここ最近、いまも心に残っている人物取材の記憶をふり返っています。

もう17、18年前のことですが、鎌倉の漁師さんのお話を聞かせて頂く機会がありました。生産者の人たちは『人間にとって都合の良い時間』では働いていないので、アポイントを取るのがなかなか難しく、どうしたらまとまった時間をもらえるだろうと、いつも機を伺っていたのです。

この年(2004年)は、日本全国に接近した台風の数が、1960年、1966年に並ぶ歴代最多を記録した年だったようです。
(参照元 http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/news/2004/summary/

鎌倉の砂浜がごっそりと波で削られてしまい、漁師さんたちは出漁できず、苦悩していました。そのような背景もあって、取材に応じて下さったのだと思います。

お話を聞いて、あらためて「ああ、何も知らなかった」と思いました。

いわゆる会社員とは、およそかけ離れた生活リズム、労働時間、収入。効率とは無縁の現場。『好きでなければできないよ』という三留さんの一言は、心に深く刺さりました。カメラのファインダー越しに捉えた一瞬の笑顔に、人間の美しさを感じました。

世間の喧騒をよそに、言葉のない世界で、黙々と汗を流して働いている人。そういう人たちに会って話を聞きたくて、私はこの仕事を選んだのだと今も思っています。






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