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イラストレーター森のくじらさんにオファー

こんにちは。物語のアトリエの安藤陽子です。今年秋に、ユニバーサルツーリズムについて考えるマルチリンガル絵本『ほんとうにだいじょうぶ?」を出版するため、日々制作に励んでいます。

前回は、著者・寺田真弓さんとの出会いと、その後に繰り広げた「ひとり経営会議」のことを書きました。今日は、もう一人のチームメンバー、イラストレーターの森のくじらさんについて、ご紹介したいと思います!


その日その時の気分を投影できる線画

前回の記事では、等身大の自分ができることを基準に考え(つまりは制作費に関して背伸びしすぎないように)、第1弾は「フルカラー」ではなく「モノトーン」の線画で実現できる絵本にしようと決めたことをお伝えしました。

でも、今回の企画をモノトーンで進めようと考えた理由は、決して制作費の問題だけではなくて・・・。固定化された色がないほうがいいかもしれないと思ったからなのです。

同じ空の色でも、人によって見え方、感じ方は違います。
同じ道のりでも、初めて通る時と2回目では、まるで違った感覚を抱くものではないでしょうか。

人それぞれ、その日その時の気分を投影できる余地が、線画にはあります。
この物語も、そんなふうに読んでもらえたら・・・と思いました。

隅から隅まで楽しめる「森のくじら」ワールド

すぐに思い浮かんだのは、ずっと前からひそかにファンだった謎のイラストレーター・森のくじらさんの線画です。

なんでしょう、これは言葉では説明のしようがありません。
森のくじらさんの線画を一目見て、「わぁっっ♪」とココロが動いたんです。

細か〜いところまで思わずクスッと笑ってしまう「何か」とか、ナニコレ!ナニコレ・・・! ⤴️ ⤴️⤴️と聞きたくなる「何か」が散りばめられていて。

うわー、うちの子たちに見せたいっっ!!!

と思ったのが森のくじらさんのイラストでした。

くわしくは公式サイトをぜひ一度ご覧いただきたいのですが、線画だけではなく、同じ児童書や絵本というジャンルでも作品ごとに色々なタッチを描き分けられていて。出版社さん編集者さんの制作意図を丁寧にくみとりながらお仕事されていることが、ホームページで紹介されている様々な作品から、伝わってきました。

夢中で書いた出版企画書を読み返しつつ、「もし、この物語を森のくじらさんのイラストで描いてもらえたら・・・」と妄想し始めたら、完全にもうそれ以外のイラストをイメージできなくなってしまいました。

著者の寺田真弓さんとの打ち合わせでも、ポートフォリオを拝見しながら「このキャラ最高にカワイイ〜」「ふふっ、このコの雰囲気も味があるねぇ」と、ひとしきり楽しみました。そして、「では・・・『当たって砕けろ』ってことで・・・オファーしてみます!!!」と、真弓さんに告げたのでした。

数日間は「もしお断りされてしまったら・・・」と怖気づいてしまい、すぐに踏み切れなかったのですが、意を決してメールを送ると、まもなくご快諾の返信が・・・!!!

やったぁぁぁーーーー!!!!!

本づくりには、ライターの仕事だけに終始していたら絶対に味わえない喜びがある。そんなことを強く実感した瞬間でした。

託したいのは「言葉では決して表現できない気持ち」

いつも、イヤというほど、言葉の無力さを感じます。
世の中は言葉にできない/されていないことばかり。
言葉にできることなんて、ほんのほんの、ひとかけら。

だからこそ、「ほんのほんの、ひとかけら」の言葉にいのちを吹き込むため、
私はいつも、言葉が生まれる前の「光景」先に思い浮かべます。なんの「光景」も存在しないところから、言葉は生まれない気がするからです。

今回の絵本は「文」が先行して出来上がったのですが、森のくじらさんとのミーティングはまるで、タイムマシンで物語が始まる「前」の世界を覗き、
「そっか・・・だから、主人公はあの場面でこんなことを呟くのね・・・」と一つ一つ確認していくような作業
でした。不思議な感覚なのですが、森のくじらさんをお迎えして、3人でディスカッションを重ねるたびに、物語の「納得感」が増していくことを肌で感じました。

かくして、登場人物たちが歩んできたプロセス(過去)、その上に成り立っている関係(現在)、これから向かっていく方向(未来)が少しずつ見え始め、この物語は一つの「世界」として立ち上がっていったのでした。

現在も、著者の寺田真弓さん・イラストレーターの森のくじらさんとのワクワクミーティングは続いています。そしてじつは、同時進行で4言語の翻訳者さんとのミーティングも着々と進行しています・・・!

ユニバーサルツーリズムをテーマにしたマルチリンガル絵本「ほんとうにだいじょうぶ?」の制作をめぐるエピソードは、まだまだたくさんあります。引き続き、少しずつnoteに記録していけたらと思います!