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著者・寺田真弓さんとの出会い

こんにちは。物語のアトリエの安藤陽子です。

現在、ユニバーサルツーリズムについて考えるマルチリンガル絵本『ほんとうにだいじょうぶ?」の出版に向けて、制作に励んでいます。

この企画は、2023年11月末、私がビジネスエアポート青山主催のイベント「出版のイロハ講座」に登壇した際、そこに参加して下さった寺田真弓さんとの出会いから生まれました。

バリアをなくすよりも楽しんで越えたいという寺田家のまぶしさ

寺田真弓さんは、車いすユーザーである夫のユースケさん、息子のたびくんと共に、日常の様々な「バリア」を家族3人で楽しみながら乗り越えていく超ポジティブな情報発信を続けているインフルエンサーさんです。

日本全国の観光事業者の方々とも楽しいコラボ企画をたくさん行っていて、
お話しすればするほど「へえ〜、車いすでこんなアクティビティが楽しめる観光地もあるのね!」と目からウロコが落ちるばかり。登録者10万人のYouTubeチャンネルを運営している真弓さん、人とのつながりが、ケタ違いなのです。(https://www.youtube.com/@teradaketv

でも、真弓さんいわく「まだまだ全然、知られていないんです」とのこと。
ユニバーサルツーリズムを推進している方たちの事をもっと知ってもらえるにはどうしたら良いか探る中で、私の講座に参加して下さったそうです。

初対面とは思えないほど、気さくに話せて、すっかり意気投合した私たち。
出会ったその日の帰り道、私は電車の中で真弓さんがこれまで発信してきたYouTubeやnoteをじっくりと拝見しました。そして、自宅に到着する頃には、もう絵本の企画書を書き上げていました。

真弓さんが伝えたいこと、伝えたい相手が、私自身がこれまで経験してきたこととどこかつながっていて、無理なく自然にイメージできたからなのかもしれません。もちろん、そんな単純に「理解できた」などと簡単に言うことはできないのですが・・・

初めての出版オファー

6日後、真弓さんとzoomで再会し、ドキドキしながら、企画のコンセプト、物語の世界観、登場人物のイメージ、造本や、その時点で考えられる範囲での販売方法の案などをお伝えすると、想像以上に前向きな反応が返ってきました。

「ぜひ、やりましょう!!!」

この力強い一言に勇気をもらって、瞬く間にプロジェクトはキックオフ!
数回のzoomミーティングを重ねて、2024年1月には、2人で印刷会社さんのショールームに足を運んでいました。

まったく白紙の状態から一つ一つ話し合い、練り上げていくプロセスは本当に楽しいです。自分が持っていなかった視点に毎回気づかせてもらいます。やはり、本づくりは一人では出来ないことだと改めて感じます。

書店に並んでいる本のお値段

さて、企画書を書き上げると同時に、ひとり経営会議が始まりました。

「このプロジェクトにかけられる自己資金はいくら?」
「何冊だったら、あなたのマンパワーで売り切れる?」
「いくら利益を出せば納得なの?」

資金については、3年前から「自分自身が立てた企画で商業出版をしよう」と目標を立てていたので、ライターとしてクライアントワークで得た報酬をコツコツ貯めてきました。

販売活動も、この企画が生まれる前から、かなりリアルにシミュレーションをしてきました。完全なる個人事業主で、小学生が2人いて、家事・育児とクライアントワークの〆切に日々追われていて、数百・数千ものフォロワーなんていない無名の私が、仮に本を作れたとして、書店さんやお店に販売をお願いするとしたら、何軒、足を運べるだろうか・・・と。

(アナログな人間なので、ものを売るなら、何度も足を運び、人間関係を温めて、つくった本の魅力を根気よく伝えて・・・という営業活動しか、どうしても思い描けないし、同じ売るなら、そういう方法を取りたいんです)

結論、私が最初の一歩として挑戦できるのは最大500部だと考えました。プリント・オン・デマンドや電子書籍などの路線も考えましたが、やはり、どんなに少部数でも印刷・製本して売り切る方法を考えようと決めました。

制作予算部数を決めると、1冊あたりの販売価格が見えてきます。

・・・簡単な割り算です。仮に・・・

制作費100万円で500部完売するとしたら…1冊の原価は2000円。
制作費200万円で500部完売するとしたら…1冊の原価は4000円。
制作費300万円で500部完売するとしたら…1冊の原価は6000円。

あれ・・・ええっと、私、決めるべき項目の順番を間違えたかな。
こういう場合、何から先に決めればいいんだろう・・・?
「部数」を先に決めることが、間違ってるのかな・・・?

すでに素敵な本をたくさん世に生み出している独立系出版社さんの体験記や、書籍編集者の方が配信しているyoutubeなどに学びながら、あれ・・・本って、どうやりくりしたら1000円台で売れるんだろう・・・1000円で本を買えるって、そもそも夢みたいな話なんじゃないの・・・などなど計算機を叩いても叩いても解が見えず、何ヶ月も時は過ぎていきました。

「等身大の自分にできること」を基準に組み立てる

でも、真弓さんにオファーしたい!オファーしよう!と腹を決めてからは、可能なかぎり細かく原価計算をして、許容できる損益分岐点を決めました。

私が最初に手放したこだわりは「上製本」です。ソフトカバーでも魅力的だと思ってもらえる絵本を作ろうと思いました。

次に手放したのは「フルカラー」です。モノクロの線画で、この物語を形にする道を模索しようと思いました。

3番目に手放したのは「初刷で利益を計上すること」です。(ただし、赤字を出さないことにはギリギリまでこだわる)「利益を出せなかったら事業じゃなくてただの趣味なんじゃないの?」と、もう一人の自分がこっちを睨んでいるのですが、じっくり優先順位を考えた結果、私はこういう順番で決めました。

①500部を印刷製本して売り切る。
②2000円以上の本体価格に対して読者が納得できる内容の絵本を作る。
③イラストレーターさんと翻訳者さんに失礼のない報酬額をお支払いする。
④ 著者さんの活動に絵本を通してプラスアルファの価値を生み出す。

まずは、これらに専念して2刷をめざそう。すべて思い通りにいかなかったとしても、挑戦する価値は十分にあると思いました。

部数と本体価格はその後、著者さんと計画を練る中で、そして印刷会社さんを選定する中で、多少変わっていくのですが、その話は追って。

長くなってしまいましたので、続きは、次回に書きたいと思います!