対話のはじめ方〜②基本スタンスを揃えよう〜
こんにちは。合同会社LifeStocksでコーチ・ワークショップファシリテーターをしている永井なつみです。このnoteでは人や組織に関するテーマで書いています。
さて、今回のテーマは「対話のはじめ方〜②基本スタンスを揃えよう〜」。前回の記事の続きです。
対話をはじめる時に大切なこと
対話を始める時に大切なこと、それは
1.前提を揃えること
2.参加スタンスを揃えること
です。
議論に慣れている人からすると、意見の背景や気持ち・想いを語る対話コミュニケーションは非生産的に感じ、その場に居続けることにストレスを感じることがあります。
「日々の業務で忙しいのになぜ私が呼ばれるの?」
「この話をして何かメリットがあるの?」
といった疑問を呈されることもあるかもしれません。たとえあなたがメンバーに自由に言葉を交わしてもらいたいと思っていても、メンバーの状態が整っていないと参加する姿勢が生まれず、お互いに様子を見ながら遠慮がちに話しただけで終わってしまうかもしれません。
かく言う私も約15年前に参加したとある研修の中で対話をするパートがあったのですが、その理由が腑におちず一時間くらいずっと悶々として話に参加できないことがありました。研修というからには講師の素晴らしい講義を聞く時間であって、参加者同士が話しても学びは得られない。そんな考えだったんですね。当時はわざわざ問い直すこともせず、よく分からないからいいや、何となくこの場をやり過ごそう…としていた記憶があります。
参加者同士のニーズや認識が合っていないと
生産的、建設的な対話は生まれにくくなります。
美味しい料理を作るにも下ごしらえに手間暇かけますよね。
対話も一緒で、始める前の土台作りが肝なのです。
1.前提を揃える
普段の会議と同じように、あるいはそれ以上に「なぜ」「何のために」「今」「このメンバーなのか」について参加者の前提を揃えます。
例)チームビルディングのために相互理解を深めたい場合
なぜ(背景):チームが形成されたばかりなので
何のために(目的):お互いの人となりを知り、コミュニケーションを取りやすくするために
今(タイミング):期初のタイミングで
このメンバーなのか(参加者):チームに所属する全員で
例)会議の平行線を解消したい場合
なぜ(背景):先ほどから議論が平行線である。このまま話し合いを続けても結論が出るとは思えない。
何のために(目的):意見の違いがどこにあるのかをお互いに理解し合い、平行線を解消するために
今(タイミング):硬直状態にある今
このメンバーなのか(参加者):この議題に参加しているこの場にいる全員で
加えて「この対話をすることでどんなメリット(良いこと)があるのか」も添えられたらベストです。
通常の会議では「共有/相談/意思決定したいことは何か」といった目的が明確であり、わざわざ改まって一つ一つの前提を確認しなくてもある程度進行できます。(と言いつつ、議論でも前提が揃っていなくて皆が好き勝手な視点で話すということもありますよね。議論でも前提は大切です)
対話は氷山の下について話すため、議論よりも抽象度が高くなります。抽象度が高いと意識がバラバラになりやすいため、参加者の前提を揃え、腹落ちした状態で臨む必要があるのです。
2.参加スタンスを揃える
参加スタンスを揃えるとはどういうことでしょうか。
会議の場面を思い浮かべてみてください。例えば、「時間いっぱいブレストをしてアイデアを広げる会議」と「時間内に結論を出さなければいけない会議」では臨む姿勢が異なりませんか?
時間いっぱいブレストをしてアイデアを広げる会議ではたくさんの切り口や視点でアイデアを出した方がいいですから「どんなアイデアも思いついたらいい悪いは関係なくとにかく出そう」といった意識があるかもしれませんし、時間内に結論を出さなければいけない会議であれば「合理性を検討するためにできるだけ論理的に考えよう」という意識になるかもしれません。
ほとんどの場合、私たちは無意識にスタンスを選んでいるのです。
対話は抽象的なテーマが多くなるため、議論以上に参加者のスタンスがバラバラにもなりやすいのです。「とにかく広げよう」「ロジカルにいこう」「ぱぱっとスピード感を持っていこう」「ゆっくり傾聴しよう」などスタンスが揃っていない状態のまま対話を始めるのは、例えるならオーケストラでそれぞれの楽器が音程も合わせず、さらに好き勝手なスピードで演奏しているようなもの。対話の不協和音状態です。
そして議論慣れしているチームほど、「結論から話さねばならぬ」「論理的に話さねばならぬ」という価値観に縛られていて、論理的に説明できない感情や想い、あるいは願いといったものは無意識に葬り去られているケースも少なくありません。実はこの目に見えない感情や想いの部分にたくさんの宝が眠っているのです。安全にあらゆる声が出せるよう、参加者のスタンスを揃えていきます。
参加スタンスの揃え方
何のために対話を行うのかの前提が揃ったら、次は参加スタンスを揃えましょう。はじめは次のような項目で話し合ってみるのがオススメです。
(1)聴く姿勢 例)否定せずに聴く、好奇心を持って聴く、など
(2)話す姿勢 例)気持ちや想いも話す、まとまっていなくてもOK、など
(3)対話の雰囲気 例)ゆったりと、思いやりのある、情熱に満ちた、など
上記の項目についてアイデアを出すブレストを行い、ブレストした中から特に大事にしたいものを選んで収束させ、収束したものについて参加者の合意を取る、という流れです。
まとめ
なぜこの場があるのかを意味付けし、どのように臨むのかを語るプロセスがあることでチーム内に共通認識が生まれます。この共通認識が対話の土台であり、土台があることで語るべきことが語られやすくなります。
さあ、前提とスタンスが揃ったらいよいよ対話の始まりです。次回はこのシリーズの最終回「対話のはじめ方〜③対話でよくある難しさ、どう乗り越える?〜」です。
・・・
弊社や弊社サービスに関しまして、ご相談やご不明点等がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?