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2023.3月(10冊ログ)

毎月、読んだ本から「10冊」紹介しています。

1. #撮る人へ  

1000人を超える写真家たちとの出会いから生まれた、目からウロコの写真幸福論。今から20年前に発売された書物。

写真は美術で、美術は祈り。すごくしっくりきました。例えば、マスコミに売る写真を撮る人が機材が同じだからと言って、作品の写真は撮れない、みたいなことで。

本書の中に、「女の一生は忙しく、家事も育児もできて当たり前でだーれも評価してくれない、そういう世界に突入した時に自分と対峙できる何かを持ち合わせていると案外乗り切れる」とありました。自己確認の手段として写真があると健やかである気がします。子持ちの主婦がやたらと写真が上手いというのも書かれてありました。やっぱり親にしか撮れない写真はある。人間でも動物でもお気に入りのものでもいい。愛おしいと思う存在にカメラを向けている写真は誰にとっても愛おしいってことなんじゃないでしょうか。

2. #写真解体新書

写真、映像をベースにしたクリエイティブスタジオ
bird and insect さん から初めての書籍とのことで。

「自分らしい表現」ができるようになるためのワークになっています。写真撮影の手法をきちんと勉強できる本でした。光、色、フレーミングと構図、レンズの仕組みがわかりました。

わかったとて、これ感覚に染み込むまでやり切れるかの自信はありませんが、やっぱり細部にわたって美しいヒントはこの本にありました。そして何より、「なんで私、写真撮ってるんだろ。」と考えることができました。写真を撮り続けるための本でした。

3.#もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。

新入社員から4年目くらいまでの社会人全員に配りたいくらい、良書でした。実際、人事部門の友人も購入し、読みながら涙し、その後配布していました。

この本が共通認識になっていると、マネジメントが格段しやすくなります。具体的な50の事を読み進めて、少しずつ実践すれば、少なくとも意識して仕事をすれば、きっと、日々、会社でやりたいことが見つかるはずです。今の会社でやりたいことを見つける能力がないと、転職ジプシーになりますので、私の子どもが社会人になったら、間違いなくまずこれを読ませたいと思います。

4. #運動脳

『スマホ脳』著者アンデシュ・ハンセン最大のベストセラー『運動脳』

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説得力がすごい。あらゆる研究結果にぐうの音も出ない。運動しますとも、させていただきますとも。今すぐ走り出したい衝動が沸き起こります。

この手の翻訳はとにかく強めで、ビジネスマンを徹底的に納得させる強さがあるから、厳しくてちょっとアレルギーを示しがちな人もいると思いますが、幸福感、若返りのメカニズムに多大な運動の魅力を感じると思います。

5.#体を動かす習慣 休める習慣

セルフケア、自分のことをどうケアしていいかわからなくなる時に、お勧めの本を見つけました。

とりあえず、日本に住んで、四季があって。その季節に身体の状態を寄り添わせていくと良さそうです。毎月季節に合った心と身体のテーマがわかり、ストレッチ、食事、イメージ、呼吸などが具体的なのに押し付けがましくなくて簡単。ちょっとたのしい身体のケアで週ごとに動かし、休めるバランスも気に入っています。

6. #じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン

誰がどんな発言をしても、それはそれでいい。そう思いながらも、自分自身の考えを伝える事ができたら、生きていくチカラは強くなる。そう思ってます。

結論なんてなくていいし、 話をまとめなくていい。 対話。対話できる関係の信頼の方が、正しい理解よりずっと大事なんですね。 子どもの「なんで?」は、 子どもが立てた「問い」なので 「そんなこと言ったらダメ!」じゃなくて。たくさんその心理を面白がって、一緒に真理を探れたらいいなと思います。答えのない問いのまま、あーだこーだ言うたのしさを。

7.#母が嫌いだった私が母になった

「母が嫌い」だった青木さやかさんが自身と娘との関係を見つめる新作エッセイ。控えめに言って、やっぱり頭脳明晰、テンポが天才、流れがおもしろい、言葉がきれい、沼がすごい、卑屈の神さま!すごく繊細でいらっしゃる。

子育てをしていると、ある程度子どもが成長した領域から、急にごまかしが効かなくなるんですよね。急に人間同士、になるというか。大人も子どもも余裕がない時もたくさんあって。ずっと答えがない毎日、毎秒、一問一答、一挙手一投足、、みたいな。

だからずっと毎日疲れていて、心配が絶えなくて、ということに実は蓋をしているとしたら、この本で一回ブワーっと代わりに吐き出してもらうと思って読むといいかもしれません。

8.#生きるに値しない命とは誰の事か

安楽死についての近年の議論と相模原事件などを踏まえた論評的評注論文を加え、超高齢社会の「命」を問う本。禁断の書と言われていた原著刊行から100年、ここに新版が出た。

日本人の自殺の約四割が70歳以上の高齢者であることはご存じだろうか。本人が意思を示すことができる状態かつ、道徳倫理観の壁を乗り越えることができる選択でそうなっていたとしたら・・。

脚本家橋田寿賀子さんが92歳で安楽死の合法化を訴えている。「尊厳のない状態で生きる」ことの辛さをリアルに感じた。老いの現実についてもかなりわかりやすく書かれている。それでも生きる理由には人間の使命を感じました。この件は、タブー視していたらダメなんじゃないかな。

9.#真相をお話しします

世にも奇妙な物語の現代版のような、朝井リョウさんを初めて読んだ時の衝撃にも近かったです。今年、第22回本格ミステリ大賞にノミネート。現代日本の〈いま〉とミステリの技巧が見事に融合した珠玉の5篇が入った本。

SNSで話題になった本の良さは、「いま」がわかる。テーマやトピックはもちろん、言葉や表現、会話のテンポ、感覚、今この時にしか書かれないんだろうなって思うし、感覚を若くしてくれる気もします。

偽装家族、パパ活、妊活、精子提供の15年後、誰が早くubereatsを呼べるか、リモート飲み会、最強YouTuber爆誕。何度も何度も展開して、真相に辿り着く。ほどよく怖く、あっと驚くたのしさでした。

10. #とりあえずお湯わかせ

2018年から2022年の4年間を記録した、柚木麻子さんのエッセイ集。ワンオペ育児、自宅で仕事、疲れ切った日々。なんでこんなに孤独で、なんでこんなに歯を食いしばらないといけないのか、赤裸々な言葉に救われます。

「子連れで恐怖しない世の中を」という最後の章に涙しない人はいないと思います。産後の母親はいつも怯えていて、みんな子どもを黙らせることに必死。ベビーカーを蹴られたり、飛行機で座席を蹴られたり、子どもをあやす母親がうるさいと言われたりしたエピソードも。とにかく子どもを泣かせるな、子どもの存在は迷惑、という世の中を変えたい。その強い意志に全力で応援ですね。

おわり。
今月も読んでくださってありがとうございました。来月も書きますので良かったら遊びに来てください。

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