見出し画像

霜降|2023.10.24-2023.11.7

日々の食卓、食卓での会話、食材やレストラン、食に関する本や映画、イベントなど、食にまつわることだけ書く日記のような「食雑記」。節気毎に更新。

10月26日(木) 新しい果物の見方

今週は毎日朝食に無花果を食べている。恋人がしみじみと、朝に無花果食べるの、ほんと好き、果物の中で一番かもしれない、と言うので、どこが好きなの?と聞くと、ちょっと考えたこともない答えが帰ってきて驚いた。無花果は、固形分の割合の多さと、1回に食べる量(無花果の場合は1個)のバランスがすごくいい、という。つまり、食べ応えの話。例えば、柑橘は、水分の割合が多いので、結局ジュースを少し飲むのと同じ。西瓜だと、ほとんど水分だけど、食べる量が多いので、満足感がある、と。つまり、果物を固形量と水分量の割合の縦軸、1回量の横軸でプロットしているということ。で、第4象限に入るものは満足感が低いという。そこに当てはまるものはたくさん食べればいいのでは、と思いもするが、そういうことでもないらしい。
これに限らず、食べものに対する満足感が、彼と私ではかなり違っていて、私は満足しても、彼には物足りないということが結構起こる。それが単純に量の話ではないこともあって、興味深い。他者のこういう話、もっと知りたい。目の前の食べものが、また違った風に見えてくる。

10月28日(土) 町中華の衝撃

ある大きなイベントに行った帰り、どうしてもお腹が空いてがまんできず、その会場の近くで夕食を食べて帰ることにした。前回、目について入った中華居酒屋はちょっと油が匂いが気になって食べられなかった。きっとまたそんな展開になるよ、という恋人の警告に耳を傾けず、何が出てきても絶対文句言わないと約束して、前回よりも店構えは多少しっかりしている中華料理屋に入った。
メニューを見て、八宝菜に唐揚げがついた1000円程度の定食を注文したあとも、全く期待はしていなかったけれど、テーブルに置かれたのは、想像を超える料理だった。八宝菜は、しゃぶしゃぶ用の薄切りの切り落としのようなものに、しおれた白菜の切れ端。処分品コーナーが目に浮かぶ。 ただ、味付けは特に美味しいというわけでもないが、まずくて食べられないわけではない。そして、唐揚げは、細切りの肉の皮をはがし、くるんと巻くようにして大きく見せるという見事な技巧がこらされている。2個で1個分にもみたないのではという肉の量。こんな料理がでてくることは、想像できなかった。
どこでも食べられて同じ味のチェーン店で食べるくらいだったら、その場所にしかない個人店で食べる、という選択にこれまで迷いはなかったが、その気持ちがちょっと揺らいだ。

10月29日(日) 札幌の果樹庭の庭主交代

関西に移住した後から、札幌の果樹庭をずっと守ってくれていたご夫婦から、夏くらいに、今シーズンで庭主の役目を終えたいと連絡があった。さて、これからどうしよう、と悩んでいたら、前に果樹庭のピクニックに来てくれて、アート関係の仕事でも関わってきたご夫婦が、やってみますと言ってくれて、新しい庭主をお願いすることになったので、札幌に行って交代に立ち会う。
果実を収穫できるのは、ほんの一瞬で、しかも大量なので、収穫にもその後の保存にも、労力がかかる。そして、収穫できない時期には、季節ごとにいろいろなお世話が続く。これまでの庭主のご夫婦は、丁寧に細やかな愛情を持って世話をしてくれていて、本当に感謝しかない。
新しい庭主のご夫婦はかわいいお子さん3人がいるので、来シーズンからは、果樹庭に子どもの声が響くことになるのかな。
果樹庭での写真は撮り忘れたけど、札幌の秋の空の写真。

11月6日(月) 味噌汁は飲みたくなる

9時近くに仕事で疲労困憊して帰ってきてからの、ひとり夕食。帰りにスーパーで4割引きになっていた牡蠣フライをメインにして、付け合わせの春菊サラダ、キムチ冷奴に味噌汁をつくる。一人分だし、ほんだしを使おうかと思ったけれど、昆布だしを省略するなら別に手間は変わらないと出汁パックだけ使って出汁をとる。具は使い残していた小松菜1株に、シメジ。味噌はいつもの西宮婦人会「塩瀬のおみそ」。ひとりでも思わず「おーいし」と声がでる。

白米を食べたい!と心から欲したことがないが、味噌汁を飲みたい!と思うことは、そこそこの頻度である。とはいえ、味噌汁にはやっぱり白米が合う。人は、おかずがないとごはんが食べられないとか言って、漬物とか佃煮、納豆やふりかけなど欲しがるけど、私は味噌汁があれば、白米が食べられる。というかむしろ、白米と味噌汁の組み合わせこそが好き。無限ループになる感じ。ふと、これは土井先生の「一汁一菜でよいという提案」そのものなのでは、と気づく。タンパク質をどう確保するかは工夫が必要だけど、これからしばらくは、ひとりごはんのときには一汁一菜で、どれくらい楽しめるか、意識してやってみよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?