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ウィークエンド世界食堂|ナーズさんの北インド料理

6月22日(日)、カフェ・サパナにて「ウィークエンド世界食堂」を開催しました。今回は「ナーズさんの北インド料理」、32名の方が参加されました。異国の家庭料理を通した普段着の国際交流という、非日常の機会を楽しんでいただきました。

会場の様子

会場は、ナーズさんが持参した色とりどりのインドの部屋飾りと、小さなインド国旗を飾って、華やかで楽しい雰囲気に。参加者は大学生からシニアの方まで、またアジア料理の愛好家やプロのシェフ、また、日本人だけではなく、台湾、マレーシア、トルコの方など、多様で国際色豊かな集いとなりました。2部ともに満席で、ナーズさんが選んだインドの音楽をBGMに参加者の方同志や、ナーズさんとのおしゃべりの声が絶えず、会場は終始、活気あるにぎやかな様子でした。

当日のお料理

ハイデラバード・ビリヤニ|Hyderabadi biryani
インド全土にたくさんの種類があるがナーズさんのはムガル帝国時代からのムスリムの食文化を引き継ぐ、蒸してつくるスタイル。

ひよこ豆団子のヨーグルトソース|Dahi phulki
チャートという屋台で売られる軽食のひとつ。ひよこ豆粉でつくる揚げドーナツをヨーグルトソースにひたしたもの。

ほうれん草スープ|Palak soup
ナーズさんが毎日飲むのは、シンプルなレンズ豆のスープ(カレー)だが今日はファンが多いこちらを。

チキンロール|Chicken roll
インド版のロールサンド。ナーズさんが仕事で忙しいときに、仕事をしながら食べられるようにお母さんがつくってくれた思い出の料理。

パパド|Papad
インドのお煎餅。

キマミ・セヴィヤン|Kimami Seviyan
バーミセリ(小麦の麺)をシロップで煮込んだデザート。イード(イスラム教の二大祭)はこのデザートなしでは成立しない。

愛の飲み物|Sharbat e Mohabbat
ルーアフザというハーブや果物が入ったシロップを牛乳で割り、カルダモンで風味をつけたもの。デリーの街角で親しまれている。

シェフの紹介

ナーズ・アバッシ(Naaz Abbassi)さん
ニューデリー出身。インドでは、ヒンドゥスタン・タイムズの人事部にて働く。2019年に夫とともに日本へやってきて、2022年に永住権を取得。現在は”Naaz indocrafts(ナーズ・インドクラフト)"を経営している。ナーズさんにとって、料理は心の支え。料理をしている時は、今は亡きお母さんとつながっているような気持ちになるそう。

当日配布したメニュー

ナーズさんの料理の紹介

参加者のみなさんが、料理を食べ始めて、少し落ち着いたところで、ナーズさんからお料理の説明をしてもらいました。ナーズさんは、できるだけ日本語で話したいということだったので、基本は日本語で、難しいところは、私が通訳しながら、お話してもらいました。

まず最初に、ナーズさんは、自分はインドにいる時には忙しく働いていたため、料理をしなかったこと、料理をするようになったのは、日本に移住した5年前くらいからだということを、伝えてくれました。そして、彼女にとって、料理をすることは、今は亡き母親とつながる手段だと感じているという大事なことを、私たちに話してくれました。

「ハイデラバード・ビリヤニ」は、ナーズさんが、自分が一番大好きな料理で、ムスリムの食文化に深く結びついた料理であるとを説明してくれたあとで、私から、メニューを決める打ち合わせの際のエピソードをお話しました。アイデア出しのために、友人を家に招くとしたら、どんな料理をつくる?と聞くと、そこには彼女が大好きな料理と言うビリヤニが入っていませんでした。ビリヤニは?と聞くと、多分つくらない、と言うのです。「ビリヤニは肉を煮込み、米をゆで、それらを合わせて蒸すというとても手間のかかる特別な料理で、インドではみんながその価値をわかってくれる。でも、日本人にとっては一品にしか見えず、価値を理解してもらいにくい」と。友人たちを喜ばせようと思うと、品数を増やすことを考えてしまうのだそうです。それならば、参加者のみなさんにも、インドと同じようにビリヤニの価値をわかってもらえるようにちゃんと説明するから、ぜひ安心してビリヤニをつくって欲しい、とお願いしたことをお話しました。

「チキンロール」は、ナーズさんから「実は、私がインドで食べていたロールサンドはチキン入りというわけではないのです」という告白がありました。お母さんがロールサンドにはさんでくれたのは、日常の食卓にのぼる、あらゆる料理だったそうです。移動中の車で、ちゃんとした食事ができるようにと、様々なものを巻いて渡してくれたそう。どこの国でも、子どもの健康を案じて、親がお弁当をつくるのは変わらない。インドのロールは、日本での具沢山のおむすびなのかもしれません。

また「愛の飲み物」は、40度にも達するインドの暑い夏に、彼女のお母さんが大切なお客さんを迎えるときに用意していた飲み物なのだと説明がありました。「今日は、参加者のみなさん全員をVIPとして迎える気持ちで準備しました」。ナーズさんの気持ちが伝わる瞬間でした。

参加者の感想

「ナーズさんの飾らない話を聞きながら、彼女の北インドの家庭料理を食べることができるのはとても素晴らしい体験でした。まるで彼女の家に招かれたかのような、温かみのあるイベントでした」(30代女性)

「メインから飲み物まで、すべて家庭料理で構成されているというのは、レストランなどでは味わえない、特別な体験だと思いました」(50代男性)

「とても美味しい料理に出会えました。店内の雰囲気も素晴らしかったです。『愛の飲み物』は毎日飲みたいほど感動しました!」(20代女性)

今回のウィークエンド世界食堂も、盛況のうちに終了しました。北インドのムスリムの食文化にも、ナーズさんというインドから日本に移住したひとりの女性にも、自然に出会って、理解する機会をつくれたのではないかと思っています。
これからも、Life  on the tableの軸にある「食べて、知る」という機会を、増やしていきたいと思います。

(Life on the table/宮浦宜子)

基本情報

ウィークエンド世界食堂 ナーズさんの北インド料理
日時:2024年6月22日(日)11:30の部/13:00の部
会場:カフェ・サパナ
主催:カフェ・サパナ(渉外・受付:筒井百合子、キッチン:飯田美千代)
企画協力:Life on the table (全体コーディネート・広報:宮浦宜子)

今後の開催予定

7/21(日)インタンさんのインドネシア料理 ※詳細・予約方法はこちら
9/16(祝・月)ゲルゲイさんのハンガリー料理


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