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食雑記

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日々の食卓、食卓での会話、食材やレストラン、食に関する本や映画、イベントなど、食にまつわることだけ書く日記のような「食雑記」。節気毎に更新。
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2022年1月の記事一覧

林檎のミルフィーユ

恋人とは、お互いの誕生日に、特別なディナーを用意しあうと決めている。ほとんど毎日、一緒に料理をつくり、一緒に食べているので、特別な料理というのは、意外に難しい。普段使わない贅沢な食材を使うという手もあるし、普段はかえられない手間をかけるという手もある。 今年の恋人の誕生日は、赤ワインに合う身体が温まるものというリクエストがあったので、メインはカスレにしようと決めた。生ソーセージをつくり、朝挽き鶏をコンフィにし、ラムとインゲン豆を煮込み、それらを一緒にしてオーブンで焼く。普段

おせちバインミー

お正月も3日になると、そろそろおせちを食べ切ってしまおうというモードになる。去年のお正月からご近所さんとやっている持ち寄りおせち交換会で、焼き豚をつくってくれたメンバーがいたので、これはバインミーがつくれる!と楽しみにしていた。バインミーに必須のなますは、お正月にはたっぷりあるからだ。 ベトナムのストリートフード、バインミーのパンは、皮は薄くてパリッとしていているけど、中はふわふわ。つまり空気が多い。昔、何かの本で、バインミーのパンを焼いている女性のインタビューを読んだ。バ

ラム肉パスタソースの罠

そろそろ昼食の準備しようと、台所に降りていくと、空腹に耐えきれない恋人がすでに料理を始めていた。ラム肉の強い匂い。ジンギスカン丼?と聞くと、トマトと煮込んでパスタソースをつくっていると言う。準備してくれててありがとう、という気持ちとともに、理由は説明できないのだけど、ラム肉でパスタソースは止めたほうがいいんじゃない?という気持ちが込み上げる。 「パスタじゃなくて、ブルグル(挽き割り小麦。クスクスが大きくなったようなもの)にする?」と提案してみるが、ブルグルはもうなかった。諦

金時人参のオーブン焼き

いつも野菜を買いにいく伊丹のJA直売所。年末には幅を効かせていた金時人参が、年が明けてしまえば、やっぱり大きい西洋人参に押されるように、小さいの5、6本が袋に入って、100円ちょっとで売られていた。 そんなの毎年のことだろうけど、「暮れには、あんなに人気ものだったのになあ」と、ぼやきながら袋詰めする農家さんの姿が浮かぶような気がして、勝手に応援気分で3袋買い、まとめてオーブンで焼く。その夜、お呼ばれしていたホームパーティに持っていったら、私お得意の焼いただけ料理だけど、喜ば

お好み焼きの断崖

昨晩、関西に引っ越してきて初めて、お好み焼きを焼いた。もちろん、もう数えきれないほど食べてはいる。ただ、基本お好み焼きは、つくるのも焼くのも、恋人の担当になっていたので、私は座って食べるだけだった。 でも、昨日は恋人の腰痛がひどくて、立ってるのが辛いと言うので、焼くところからは私がやることになったのだ。なるべく細かく言語化してもらいながら、彼の言う通りに焼いていく。 お好み焼き初心者の私なりに、ポイントだなと思ったのは、フライパンに一気に種をのせて山にしたら、崩してならし