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林檎のミルフィーユ

林檎は上下にカットして、上半分を使う。一番上は軸がついたままになるように厚めにスライスし、残りは薄くスライスする。一番下の林檎のスライスの上に、ゴルゴンゾーラのスライス、刻んだ胡桃、蜂蜜をのせ、マダガスカルペッパーをふる。一番上までくり返す。

恋人とは、お互いの誕生日に、特別なディナーを用意しあうと決めている。ほとんど毎日、一緒に料理をつくり、一緒に食べているので、特別な料理というのは、意外に難しい。普段使わない贅沢な食材を使うという手もあるし、普段はかえられない手間をかけるという手もある。

今年の恋人の誕生日は、赤ワインに合う身体が温まるものというリクエストがあったので、メインはカスレにしようと決めた。生ソーセージをつくり、朝挽き鶏をコンフィにし、ラムとインゲン豆を煮込み、それらを一緒にしてオーブンで焼く。普段なら絶対にかけない手間だ。これぞ特別感。そこから前菜は豪華なニース風サラダ、デザートは赤ワインとも合わせられる、テリーヌドショコラのブラックベリーソースに。その日の朝の食卓で話題になった、彼が高校時代に入り浸っていた喫茶店のミックスジュースもおまけにつけることした。

最後まで悩んだのは、アミューズ。私らしく、何かフルーツを使ってと思ったけれど、買い物にいってもそれほど美味しそうなものがない。それだったら、彼の母上が送ってくれた林檎のほうが、ずっと美味しそうと、家にある林檎で、ちょっとびっくりするようなものをつくろうと考えてつくったのが、これ。

久しぶりにちょっとしたアイデアで人を喜ばせる楽しみを思い出した。

林檎とゴルゴンゾーラと蜂蜜が少しずつなじんで意外としっとり。これは自分用なので、林檎のスライスが下手くそなのはご愛嬌。
辻仁成さんのエッセイを手がかりにつくったニース風サラダ。メインでもいけるぐらい。
朝から生ソーセージを仕込み、昼すぎから鶏もものコンフィを仕込み、夕方からラム肉といんげん豆を煮込み、ようやく全員集合でオーブン行き。
テリーヌドショコラのチョコレートは、普段おやつに食べてる業務スーパーの板チョコで。手間が大事。そしてソースは札幌の果樹庭のブラックベリーだから特別。
彼が高校時代に入り浸っていた喫茶店のミックスジュースはバニラアイスが入っていたと聞いて再現。


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