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きょう心にしみた言葉・2022年9月20日

保健室はもっと、目を向けられるべき存在だ。それは、誰に讃えられずとも職務に励む養護教諭のためばかりではない。
養護教諭が日々キャッチしているのは、社会への発信力のない子どものSOSだ。
私たちは、保健室を介して、見えづらいこのSOSを受け止めるべきだと思うからだ。

「ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル」(秋山千佳・著、朝日選書)

保健室には、子どもたちの悲痛な声が届きます。保健室からは、大人の社会の病理と、それに苦しむ子どもたちの姿が映し出されます。ある保健室の先生の言葉も心にしみました。問題を抱えていた生徒を、懸命に支えて修学旅行に参加させました。生徒は、中学時代の最高の思いでを満面の笑みで「修学旅行」と答えたといいます。「やっぱり行かせてよかったね。楽しいことは覚えているけど、辛いことは忘れるから」。人間には、辛いことを忘れる力が備わっているはずです。筆者の秋山千佳さんは、元朝日新聞記者。2011年4月に新聞に連載する予定だった「保健室」の企画が、東日本大震災で掲載されなくなりました。退社してフリージャーナリストになっても取材を続け、本にまとめました。「子どもの心身を『養護』することは、この国の未来に直結する投資でもある」と結んでいます。


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