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2000年代の人材開発の潮流をふりかえる

これまでは、生きづらさからの脱却について心理学的な知見から、記事を書いてきた。

とはいえ、ぼくの本業はもともとは人材開発や組織開発という分野で、本業に関する内容ももしかしたら、誰かのお役に立てるかもしれないと思いたって、今この記事を書いている。

ぼくが人材開発や組織開発に携わり始めたのは2006年だ。それから10年余りで、それらのトレンドも大きく変わってきた、と実感している。

2006年から2007年においては、トヨタの業績が絶好調であり、一方で大規模なリコールが起きた時期でもあった。人材開発や組織開発という分野においても、このトヨタの動きを中心にそれらのトレンドは形成されていったように思う。

リーマンショックが起きた際には、当然のごとく多くの企業が人材開発投資を減少させた。中長期的な人的投資がここでストップしたのだ。最低限、節目となる新人研修や新任管理職研修を残して、それ以外の研修の実施は極端に減ったと記憶している。

そんななかで、救世主のごとく出てきたのが、定額制の教育研修サービスだった。社員の人数に応じて、毎月定額で研修が受けられるというもので、受け放題を謳い文句に、その価格は破格で、毎月数万円からサービスを利用することができる。

特に、中小企業に教育の機会の門戸が開かれたという意味で、その貢献度は大きいものだったと思う。それまでは、教育研修といえば、インハウスか公開型かに分かれており、前者は数10人を集合させて1日数10万という費用がかかる。公開型は、1人数万円で他社の社員と一緒に受ける研修だ。中小企業企業では、何十人もの人材をひと時にひと所に集めることができず、費用を捻出できないという悩みを抱えていた。それを、一気に解決できるサービスが定額制サービスだったのだ。

景気が回復してきて、もう一つ訪れたトレンドは教育研修のオンライン化という流れだ。MOOCやカーン・アカデミー、日本ではスクーといったオンライン教育の基盤が整っていった。場所や時間に制限されず安価という特性を活かして、存在感を増していったのは当然のことだ。

現在では、インハウス、公開型、オンラインというハイブリッドな教育体系をつくっている企業は多い。それぞれの教育手法にメリデメが存在するため、相互補完するブレンデッドラーニングが普通になってきたのだ。また、時間の細切れ化により教育もバイトサイズで、倍速機能がつき、短時間で学習できるコンテンツも増えてきている。そして、今後はマンガといったビジュアルを活かした学びの教材が主流になっていくだろう。

このように人材開発領域においても目まぐるしい変化が起こっており、この変化はますます早いものになっていくだろう。

これから、テーマに分けて特に人材開発領域について書いていきたいと思う。

ぼくの記事が、コンサルタント、人材開発担者、現場のマネージャー、はたまた、経営者の皆様にお役に立てることを願っている。

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